その上司の言葉、「思考停止ワード」です 意味があるようで中身がない、”魔法の”言葉たち

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マジック・ワードについては、『その言葉だと何も言っていないのと同じです!』(日本実業出版社)にも詳しい
 会社で、ビジネスシーンで“常識のごとく”口にされる言葉やフレーズがある。そうしたものの中で、気をつけなければならないのが、言われれば妙に納得できるが、よくよく考えると「で、どういう意味?」と首をかしげたくなる、いわゆる思考停止を招く「マジック・ワード」。
 それを知っているかどうかが、会社内での立場や人間関係をも左右しかねない。そこで、よく耳にする、そして新年度の今だからこそ発せられやすいマジック・ワードについて、文章表現のプロである吉岡友治氏に聞く。
 以下、A君と吉岡氏の架空のやり取りから、論理的な言葉遣いのヒントを感じてほしい。

 よく考えれば理解不能な、上司のお説教

【今回の「お言葉・フレーズ」】 コミュニケーション能力

どうも、営業3年目のA君は課長との相性が悪いらしい。今日もメチャメチャしかられています。

課長「営業に大切なのは、コミュニケーション能力だ! お前みたいにムッツリとしていたら、ダメダメ。もっと相手に迫って、ガンガンアピールしなきゃ!」

「でも、結果は一応、出しているつもりです。営業成績だって悪くないはず……」

課長「お前が営業成績のことを言うなんて、100年早い。オレがお前なら10倍売ってみせるよ!」

「では、そのコミュニケーション能力って、どうやればつくのですか?」

課長「たとえば、お前、本当のことしか言っていないだろう? それじゃ売り上げは伸びないんだよ」

「ウソを言えっておっしゃるんですか……」

課長「オイオイ! そんなこと言っていないよ」

「言ったじゃないですか!」

課長「言ったからどうした! 文句があるなら、自分の頭で考えろよ! まったく、この頃の若い者は、人に頼ることばっかりで。そういうのを無能って言うんだよ」

「課長こそ、そんな簡単なことを部下に教えられないなんて、コミュニケーション能力足りないんじゃ……」

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