その上司の言葉、「思考停止ワード」です 意味があるようで中身がない、”魔法の”言葉たち

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論理的な表現には方法論がある?

このやり取りを傍らで聞いていたA君の先輩が、あわてて間に入ります。

先輩「課長、お小言はその辺で。私が細かいことは注意しておきますから」

課長「お、おう……」

Aくん、後で先輩に呼ばれました。

先輩「お前、課長に『能力足りない』はないだろ?」

「すいません、つい、カッとなっちゃって。先輩も一緒に営業に来てくれたことがあったけど、ボク、ちゃんとしゃべっていますよね? でも、コミュニケーション能力が足りないと言われる。ボクのどこが悪いんですか? 課長は、いったいどこを直せって言っているのですか?」

先輩「まあ、課長も時々、言いすぎる傾向があるから。でも、そこは会社だからさ」

「いや、ボクは、納得できることならいつでも従うつもりです。でも納得できないことを言われて、黙っているわけには……」

先輩「……お前さ、ちょっとオレの先生に会ってみるか?」

「先生って?」

先輩「まあまあ、とりあえず聞いてみなって」

Aくんは、次の休みの日、その「先生」に会いに行きました。

「先生の名前をネットで調べたら、企業研修も大学院入学の指導もやっていらっしゃるみたいなんですけど……」

吉岡「もともと私は、塾や予備校で国語とか小論文を教えていたのですけど、シカゴ大学の大学院に行ったときに驚きました。日本では『論理的になれ!』ってしかられるだけで、どうすれば「論理的になれるか」が教えられていない。だけど、アメリカでは、こう書けば、あるいはこう言えば論理的になる、という方法論がしっかりしている。

実際、そのとおりにすると、すごくクリアな言葉になるわけです。スゴイと思いましたね。そんなわけで、大学院を終えてから、日本で専門家が少なかった論理的文章の書き方について、教え始めたのです」

「でも、英語のやり方がそのまま日本語になるんですか?」

吉岡「もちろん、なります。もっとも語順が違うから、多少、変えなきゃならないところもありますが。原則は世界共通ですよ」

実は何も言っていない「マジック・ワード」とは?

「そういう視点から見ると、うちの課長の言葉はどう思われますか?」

吉岡「残念ながら、いいアドバイスではないですね。まず「コミュニケーション能力」の意味があいまいです。『論理的な話し方ができる』とも『相手の気持ちがわかる』とも『気の利いた冗談』とも『さわやかな笑顔』ともとれそうです。

でも、これでは『臨機応変』とか『とにかくうまくやってくれ!』と言うのと同じ。本人は内容のあることを言ったつもりだけど、実は何も意味していない。これを『マジック・ワード』と言います」

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