事故物件住みます芸人が求め続ける壮絶な現場

売れっ子になり映画化されても「恐い」を究める

タニシさんは事故物件で起きたできごとを、脚色したり、捏造したりして、恐く話すのはちょっと違うなと考えていた。

なるべく起きたことを忠実に話し、聞いている人の脳内で再現してほしいと思った。

まるで自分が事故物件に住んでいるような、バーチャル・リアリティー体験をしてほしかった。そのうえで恐く感じてほしい。

怪談会やトークライブなどで経験談を話していたが、ネタが足りなくなってしまった。

事故物件に住んでいるだけでは恐い話は貯まらない

「事故物件に住んでいるだけでは、やはりなかなか恐い話は貯まりません。

ですから、心霊スポットと呼ばれている場所にこちらから出かけていって、そこで一晩を過ごすことにしました」

タニシさんは深夜の心霊スポットを1人歩き、そしてそこで朝まで過ごした。

もちろん呪われた場所にいるという恐怖はあるが、イノシシに追われるというリアルに命の危険がある恐怖も経験した。

筆者はタニシさんの取材に同行したことがある。

タニシさんは真冬の深夜の知多半島の山奥を黙々と歩き、心霊スポットを目指していた。誰に指示されるわけでもない。

自分で決めて、自分で進んでいく。

深夜の心霊スポットにて(写真:村田らむ)

「オバケが出るのではないか?」という恐怖ももちろんあったが、身体の内部まで凍える寒さや、山奥で発見した投棄された大量のゴミの山などのほうがむしろ恐怖を感じた。

「基本的には1人で行くことが多いです。探索中はツイキャスなどで生配信しています。昨今、ユーチューバーやニコ生主など、恐怖体験を配信する人も増えています。そういう番組を愛してくれる、コアな心霊番組のファンたちに、

『ギリギリのことをしている、松原タニシという奴がいる』

と少しは認識してもらえたと思います」

「恐いってなんだろう?」

という疑問の答えを見つけるために、かなり攻めた取材を続けた。

しかし、怪談番組に出ていると、たいして何もしていないのにドンドン恐い経験をしている人が目についた。タニシさん的には、ちょっと信じられなかった。

「もちろんウソの話をしている人もいると思います。それはそれで構わないと思います。

でも、ガチで強烈な恐怖体験をしている人がいるなら、僕も一緒に恐い経験したい、と思ったんです。

実際、とても恐い話をする知人と一緒に現場に行きました。そして本当に恐い経験ができました」

見識を広げるうちに、いろいろな人から、さまざまな恐い話を聞いた。

次ページ「恐い話」はオバケが出る話だけではない
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