事故物件住みます芸人が求め続ける壮絶な現場 売れっ子になり映画化されても「恐い」を究める

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怪談と言うと「オバケが出る話」がほとんどだが、タニシさんはそれ以外の恐い話だって怪談として全然アリだと思うようになっていた。

例えばバンドマンがストーカーに追いかけられるような話も怪談だし、山奥でイノシシに囲まれる話も怪談だ。

人も自然も恐い。

「恐い」はタニシさんが思っていたよりずっと幅が広く、そして奥が深かった。

「ガチで恐い話をする人を集めてみたい、と思ったんですね。怪談を、髪の長いワンピースの女が出て、壁から手が出て……みたいな古典的なお約束から解き放ちたかった。

怪談大会OKOWAポスター

僕がレギュラーで出演させていただいている『おちゅーんLIVE!』という番組で、ガチンコの怪談大会が開けないか提案しました」

そうして2018年に、ジャンル不問でいちばん恐い話をするのは誰かをトーナメント方式で決める大会「OKOWA」が始まった。

番組は非常に話題になり、第1回の決勝戦はYouTubeだけでも164万回再生を超えている。

新しい大会が繰り広げられるたびに、耳目を集めている。

いい意味でも悪い意味でもウソが憎まれている

「今はいい意味でも悪い意味でも、ウソが憎まれる世の中になっています。そういう感覚にマッチしたんだと思います。

もともと、僕にチャンスをくれた『北野誠おまえら行くな。』もヤラセをせず、ガチで取材をしすぎているため、何も起きない回がたくさんありました。それを嫌がる人もいましたが、でも今は逆にその姿勢が評価されています。

僕はあまり商売っ気があるほうではないですが、ガチで怖い話に取り組む人こそが評価され、お金も稼げる時代なんだと思います」

現在、比較的若い世代が書いた恐怖をテーマにした書籍の売り上げがいい。書店で大きなコーナーが作られていることも多い。

また、怪談系のYouTuberの人気は芸能人並みに高い。

「恐い」ということは、エンターテインメントとしてまだまだ成長していくだろう。

そんな中で、タニシさんはこれからどのように「恐い」ということと向き合っていくつもりだろうか?

淡々とコツコツと取材を続けるタニシさん(写真:村田らむ)

「事故物件に住むのは、もう当たり前のことになっているので、今後も住み続けていきたいですね。できれば今まで住んだことのない新しい地域の事故物件を借りたいと思っています。

また、これからも心霊スポットをはじめ恐い場所を回り続けたいと思います。もし恐い場所を知っている、という人がいたらそっと教えてほしいですね」

作品がブレイクしても、収入が上がっても、たかぶることもおごることもなく、

「恐いってなんだろう?」

の答えを求めて、淡々とコツコツと取材を続けるタニシさんに、筆者は少しだけ恐怖を感じた。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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