コロナ下の留学にオセアニア2カ国が熱い理由 「留学のニューノーマル」の具体像を探る
「彼女のリーダーシップにみられる共感力や思いやりの心は、ニュージーランドで学ぶことのできる醍醐味の1つだ」。ニュージーランド大使館エデュケーション・ニュージーランド駐日代表の北岡美佐子氏は、こう力説します。
新型コロナウイルスが猛威を振るい出した2月・3月は世界的に留学中止が相次ぎ、留学の費用に関するトラブルも世界のさまざまな教育機関で発生しました。しかし、ニュージーランドは政府機関であるNZQA(New Zealand Qualifications Authority)が学費の保証を行っています。
学校費用は入学までPublic Trust Account(公益信託口座)で管理され、万が一の際も学費や滞在費用が保証されます。また、公的機関の書類のやり取りもほとんどデジタル化・オンライン化されています。不確実性の高い時代の中で、こうした取り組みには安心感があります。
ICT教育に関しても、ニュージーランドでは小学校から導入されていて、日本よりもかなり進んでいます。日本からの留学生はとくに中高生が学校単位で参加するケースが多いことから、エデュケーション・ニュージーランドでは、ウィズコロナの中でも中学・高校へのオンライン留学のプロモーションに力を入れています。
ニュージーランドやオーストラリアでは、大学に入学する前に「ファンデーションコース」という入学準備コースがあります。この高校留学バージョンをオンラインで実施する、新しいプログラムがスタートしています。
Kiwi English Academyは、ニュージーランド北島のオークランドに位置する語学学校です。ここでは、オンラインの高校留学準備コースを実施しており、日本人の高校生も自宅から受講しているそうです。
日本の私立高校1年生だったMさんは、今年3月に退学。将来世界で活躍する仕事に就きたいと考え、4月から留学を予定していましたが、新型コロナの影響で現在もニュージーランドへ渡航できない状態が続いています。そこでKiwi English AcademyのHigh School Prepコース(中高留学に向けての準備コース)を受講することになりました。
「日本の高校時代は1クラスの人数も多く、英語のクラスが自分のレベルより上級だったけれど、Kiwi Englishの授業は1クラス2~3人(最大10人)で自分のレベルに合っているので、学習意欲や学習能力もアップしていると思う」(Mさん)
さらに、その場で先生に質問できたり、週に1回は1対1で先生と次の週の予習をする時間もあります。ニュージーランドの文化やライフスタイルについて学習するNZ Studiesの授業は、実際に現地でホストファミリーとの生活をするうえでは、とてもよい準備になるとのことでした。
「ニュージーランド長期留学に向けて日本の中学・高校を3月に退学・卒業した学生はかなりいるようです。そんな学生にとって、ニュージーランドの英語学校が提供するこのコースはぴったりだと思います」(エデュケーション・ニュージーランドの北岡氏)
留学ソムリエが考えるコロナ後のニューノーマル
留学に行けない今の時期をどう過ごすか。今回取材した3者に共通しているのは、渡航が再びオープンになるまではオンラインを有効活用し、コロナ禍の収束後に渡航してオフラインでの留学につなげるというビジョンです。
もちろん、実際に留学に行けるとすれば、それに越したことはありません。ただ、それが難しい現在、じっと待って過ごすのではなく、留学経験にカウントできる2020年版オンライン留学は解決策の1つとして検討に値すると筆者は考えます。
日本人は、留学の準備に時間をかけた人が現地でメインストリーム(本課程)に行った際、成功しやすいといわれています。そのパスウェイとしてオンライン留学を活用して、時間も費用も節約し、本命の教育機関のメインストリームに効率的に入学する――。政府のバックアップもあり、そんなハイブリッド留学がさらに進化を遂げそうです。
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