コロナ下の留学にオセアニア2カ国が熱い理由 「留学のニューノーマル」の具体像を探る
留学先としてアメリカに次ぐ人気を誇るオーストラリアは、ウィズコロナ、そしてアフターコロナに向けて、どのような留学生の受け入れ態勢を取っているのでしょうか。
同国大使館・商務部のスコット・モリス参事官は、留学や国際教育に対する新型コロナの影響について「計りきれない」としながらも、「オンライン教育への迅速な移行や留学生に対する寛大な対応など、わが国の提供する教育や留学生ケアの質の高さを、国際社会にあらためてアピールできる機会になった」と評価します。
加えて、「政府は現在、留学生がコロナ禍で抱える不便さを鑑み、学生ビザに対し柔軟な方針を取っている」といいます。
ウィズコロナの中でオーストラリア大使館が取り組んでいるのが、「オンラインオーストラリア留学キャンペーン」と題した、現地教育機関のトライアルデモレッスン。オンラインで無料提供しています。
同国ではコロナ以前から教育現場でのICT活用に力を入れており、「オンライン授業でも提供する教育の質は劣らない。渡豪が制限されている中、1人でも多くの人に“オージークラスルーム“を体験していただきたい」と、モリス参事官はアピールします。
それでは、アフターコロナに向けた現地教育機関の動きはどうなっているのでしょうか。海外渡航制限で影響を受けている留学生に対してオンライン授業を提供し、彼らが現地での留学を開始・再開するにあたってスムーズに対面授業へ移行できる枠組みを作っているといいます。
「教育機関は再び留学生の受け入れを再開できる日を待ち望んでいる」とモリス参事官は説明します。そのうえで、「オンライン教育がこれまで以上に身近になったことで、オンライン海外留学へのハードルも少し下がるのではないか。今後も人気の留学先として、日本からの留学生が増え続けることを願っている」と期待を寄せます。
7月20日には、学生ビザに関して、オーストラリア移民相と教育相による共同声明があり、「国外より申請された学生ビザの審査、ビザ発給を再開する」などの政府発表がありました。
実際の運用は移民法の改正などのあとになると思われますが、モリス参事官の言うとおり、オーストラリアは学生ビザに寛容な姿勢を見せており、学生ビザに関して厳しい態度のアメリカ・トランプ政権との違いが出てきています。
安心・安全に重点を置くニュージーランド
中高生の留学渡航先として絶大な人気を集めてきたのが、ニュージーランドです。治安がよく、学校や滞在先のサポート態勢が充実している、政府が留学のバックアップを行っているなど、その安心感から近年は国際コースなどの学校単位での留学も増えていました。
同国は英語圏の中でも新型コロナの封じ込めに成功した国として、評価を高めています。6月8日には、新型コロナに対する“勝利宣言”をジャシンダ・アーダーン首相が発表しました。
不安を抱く国民に対して、何度もメッセージをライブ配信してきた同首相。5月下旬に発表された地元メディアによる世論調査で、アーダーン首相を「より好ましい首相」に選んだ人は63%にのぼりました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら