コロナを優に超える死者を出した感染症の歴史 ペストは14世紀に2億人もが犠牲になっている

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これまで人類を恐怖におとしいれたパンデミックを、死者数の多い順に9位まで並べると次のようになります。

  1. 1位 ペスト(死者数2億人・1347~1351年)
  2. 2位 天然痘(死者数5600万人・1520年)
  3. 3位 スペイン風邪(死者数4000万~5000万人・1918~1919年)
  4. 4位 ペスト・東ローマ帝国で流行(死者数3000万~5000万人・541~542年)
  5. 5位 エイズ(死者数2000万人以上・1981~2000年)
  6. 6位 ペスト・19世紀の中国とインドで流行(死者数1200万人・1855年)
  7. 7位 ペスト・ローマ帝国の疫病(死者数500万人・165~180年)
  8. 8位 ペスト・17世紀の大疫病(死者数300万人・1600年)
  9. 9位 アジア風邪(死者数110万人・1957~1958年)

正体や対処法がわかってきたのは19世紀後半から

はるか昔から、人類はいくつもの感染症に脅かされてきました。原因もわからず治療法も確立されていなかった時代には、パンデミックがたびたび世界の歴史を変えるほどの影響を及ぼしてきたのです。

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感染症をもたらす病原体の正体や対処方法がわかってきたのは、やっと19世紀も後半になってからのことでした。その後、感染症による死亡者数は激減しました。

けれど、1970年頃から、以前には知られていなかった新たな感染症である「新興感染症」や、過去に流行した感染症で一時は発生数が減少したものの、再び出現した感染症「再興感染症」も問題となっていました。

感染症は世界をいとも簡単に変える力をもっています。その感染症を理解することは、私たちがこの世界で安心して暮らすための第一歩です。今、世界中の人々を震えあがらせている新型コロナウイルスの感染拡大が1日でも早く収束するよう祈らずにいられません。

左巻 健男 東京大学非常勤講師。元法政大学教授、『RikaTan(理科の探検)』誌編集長

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さまき たけお / Takeo Samaki

東京大学教育学部附属中・高等学校、京都工芸繊維大学、同志社女子大学、法政大学教職課程センター教授などを経て現職。共著書に『身近にあふれる「微生物」が3時間でわかる本』(明日香出版社)、
著書に『暮らしのなかのニセ科学』『学校に入り込むニセ科学』(平凡社新書)、『面白くて眠れなくなる人類進化』(PHP研究所)など。

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