コロナ禍で「老化が進む人」が激増しかねない訳

感染恐れて外出減り体力・食欲・気力が低下

そもそもフレイルとは、日本老年医学会が2014年に提唱した高齢者の“老化”に関する新しい概念のことで、「気力や体力が落ち、生活機能が低下した状態」を指す。

当時の同学会理事長で高齢者医療を専門とする大内尉義さん(虎の門病院前院長)は、「当時は“年のせい”で片付けられていた身体の衰えは、しっかり介入すれば元気な状態に戻りうる可能性があることがわかってきたのです」と話す。つまり、早い段階でフレイルの兆候に気づいて対処できれば、寝たきりにならずにすむというわけだ。

2~3カ月後には歩けない高齢者が増える

だが、コロナ禍の今は、家に閉じこもりがちで運動する機会が減り、さらにいわゆるコロナうつと呼ばれる状態で食欲が減ったり、あるいは逆に甘いものなどの過食に走ったりしがちだ。こうした状態がフレイルを加速させてしまう可能性がきわめて高い。

「普通の生活をしていたら数年かかって落ちる筋力が、外出を控えて動かないままでいたら1週間で失われる。この状態が続けば、2~3カ月後には歩けなくなる高齢者がたくさん出てきてしまうのではないか」(大内さん)

フレイルになるとまず筋肉が衰えてくる。筋肉量は10代がピークで、何もしなければ1年間に3~5%ずつ減るといわれている。高齢者の場合は、筋肉量の減少を加速させる別の要素がプラスされる。

「それが“運動不足”と“栄養不足”です。これに加齢を含めた3大要素が、筋肉量を減らす原因だとわかっています。高齢になって食事がパンやうどん、ご飯などの炭水化物に偏ってタンパク質不足になってしまったり、運動をする機会が減ったりすれば、当然ながら筋肉量はどんどん落ちていきます」

ここで1つテストをしてみよう。東京大学教授の飯島勝矢さんらが考案した「指輪っかテスト」だ。両手の親指と人差し指で輪っかを作り、ふくらはぎを囲む。ふくらはぎのほうが太くて囲めない場合は問題なし。一方で、輪っかとふくらはぎの間がちょうどだったり、とくにすき間ができたりしたら、今後フレイルになるリスクが高い。

「リスクが高い人は今すぐ対策を。その1つは、筋肉の材料になるタンパク質をしっかりとること。肉や魚、卵、大豆製品をとるのが望ましいですが、難しい場合はアミノ酸製剤(サプリメント)でもかまいません」

併せて行いたいのが筋トレだ。筋肉には持続力に必要な「赤筋(遅筋)」と、瞬発力に必要な「白筋(速筋)」があり、フレイルで落ちやすいのは白筋のほうだ。この白筋を鍛えるにはスクワットやダンベル体操などが有効だという。

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