ゴルフツアー「有観客再始動」の良い点・悪い点 トーナメントの「新様式」のヒントを探る

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優勝した柳沢伸祐のティーショットを見るギャラリーは適度な間隔を保っていた(写真:筆者撮影)

プロ野球、Jリーグ、大相撲が関係者に新型コロナウイルスの感染者を出しながらも、ガイドラインに沿った対策を取り、有観客での開催にこぎ着けている。日本のプロスポーツの1つ、ゴルフツアーもようやく動き出した。

7月30~31日に静岡県の朝霧カントリークラブで、シニアツアー「ISPS HANDA コロナに喝!! シニアトーナメント」(2日間大会)が、日本の3ツアーで初めて観客(ギャラリー)を入れて開催された。

参加は50歳以上のシニアプロに限られ、男女レギュラーツアーに比べると賞金規模も小さい。それでも、スポーツイベントを少人数からそろりと開催していくという点では、今後の参考になる試合だった。

どのような対策が施されたのか

取材に行くメディアには、開催2週間前から毎日の検温結果や問診票の提出が義務づけられた。筆者も2週間前から毎日検温した。

大会2日前には、選手、競技委員、日本プロゴルフ協会(PGA)関係者らがPCR検査を実施。大会前日に結果が出て、検査した126人全員が陰性だった。

感染対策として大会中に実施されたことを拾ってみた。

【ギャラリー】
・入場は無料。体調不良の人は入らないように呼びかけた。入り口でまずサーモグラフィーでの検温を実施する。37.5度以上だと入場不可。「体温は正常です」とアナウンスが流れると入場できる。
・受付で連絡先を記入し、手指の消毒とうがいを行う。
・感染防止グッズを受け取る。中には、フェイスシールド、マスク、ゴム手袋と、熱中症対策に500ミリリットルの水が1本。
・入場してすぐにマスクとフェイスシールドの両方を着用している人が多かった。熱中症対対策で、フェイスシールドのみの着用でも可としていたが、標高900メートルほどの高原、かつ、梅雨の最後で霧、小雨の天候、気温も25度に届かない程度だったこともあり、多くのギャラリーは両方をつけていた。
・観戦できるホールが制限された。クラブハウスに近い、アクセスがいい数ホールのティーイングエリアやグリーン周りなどに限られ、好きな選手について回るなどはできなかった。ギャラリー数は初日323人、最終日539人と、男女ツアーより少ないため、ホール数を限っても密の状況になりにくかった。
・警備員の制服でソーシャルディスタンスを測る指差し棒を持ち、小池百合子東京都知事の顔イラストの面をつけた通称「ミッツポリス」が3密になりそうなギャラリーに注意する態勢をとった。表彰式では3密になりかけて“活動”していたが、プレー観戦時はギャラリーも心得たもので、自主的に3密を避けていた。
・選手への握手、サインの求めなどは自粛。「ナイスショット」「ナイスオン」などの声は多少あったが、多くは拍手での応援になっていた。
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