ゴルフツアー「有観客再始動」の良い点・悪い点 トーナメントの「新様式」のヒントを探る

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【選手】
・プレー時以外はマスク着用が基本。練習グリーンでもマスク姿の選手が多かったが、選手同士の会話の際はPCR検査陰性の安心もあってか、マスクなしも多かった。
・クラブハウスに入るときはサーモグラフィーで検温が行われた。クラブハウス内は選手や一部関係者しか立ち入れなかった。メディアも立ち入り禁止。レストランは立ち入りできる人を絞り込んだ。
・シニアでは、1人のキャディーに数人の選手が一緒にサポートしてもらう共用が多く、選手個人で帯同しているキャディーは少ない。共用キャディーはクラブ(キャディバッグ)と人を乗せるカートの運転が主で、クラブの手渡し、クラブの掃除、ボールふきは選手自らで行い、選手、キャディー間の接触を減らした。いつもはキャディーが持ってきてくれるクラブを、自分で持っていくのを忘れて苦笑いする選手もいた。
・ボールをふくタオルは、各選手が別のものを使用。共用するものをなるべく減らすようにした。
・4人1組でのプレーで、カートは詰めると運転する共用キャディーも含めて5人が乗れる。シニアの場合、カート使用が許されている大会が多く、この大会も許されていたが、全員が乗ると密になるため、組の中で若い選手が歩いたり、交代で歩いたりして、密を避けていた。
・ロッカーなど密になりそうな場所もあるが、使用する選手が全員陰性だったこともあって、通常どおりの使用になった。
・メディアは取材時にフェイスシールドとマスクを着用。フェイスシールドの記者に囲まれた深堀圭一郎は「皆さんを見るとわかりますね」と、通常とは違う今をあらためて感じた様子。

このように、「3密を避ける」「マスク着用」「ソーシャルディスタンスをとる」「消毒」「手洗い・うがい」といった一般的なコロナ対策を、トーナメント会場という場でどう行うか、という点に主眼が置かれた。

基本的にはPGA、男子ツアーの日本ゴルフツアー機構(JGTO)、女子ツアーの日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)など、ゴルフ団体で作成した「トーナメントの感染症対策ガイドライン」に沿っている。

これらが実施されたことのすべてではないが、これまでの大会とは違うオペレーションになっていたことは確かだった。

有観客の大会を開催できたワケ

ギャラリーの入り口には体温測定コーナーやうがい薬などを設置(写真:筆者撮影)

退会に選手として出場した、トーナメントを主管するPGAの倉本昌弘会長は、初日を終えたあと、次のように語った。

「『ギャラリーを入れるべきではない』という声があるのがよくわかります。私たち運営する側としても試合をやらないほうが楽です。しかし、選手に職場を与える義務もある。われわれプロは見られてなんぼの世界ですから、ギャラリーを入れてやるのが本来の姿。一つひとつこなしていけたらと思います」

今季の男子ツアーは国内23試合のうち、すでに16試合の中止が決まっている(8月1日現在、以下同)。アジアンツアーと共催した1月のシンガポールオープンで開幕したあとは、再開のメドが立っていない。

女子ツアーも37試合のうち、6月下旬のアース・モンダミンカップが主催者側の意向で、ギャラリーもメディアも入れない非公開で開催されたが、すでに22試合の中止が決まっている。

シニアツアーは当初の18試合のうち、10試合の中止・延期が決まり、開幕できずにいた。男女ツアーと同様、倉本会長の言うとおり「働き場所」がない状態になっていた。

そのピンチに、シニアとの関わりが深い国際スポーツ振興協会(ISPS)の半田晴久会長が2試合、賞金総額7500万円の新規ツアートーナメントを主催する「支援」を申し出たことで、開幕にこぎつけた。

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