4割が廃業危機「伝統工芸職人」の新しい突破口 高齢化が進みIT導入もなかなかできていない

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オンライン化のメリットは販路の多様化だけではない。クリーマの場合、出品に際して月額固定費はかからず、販売代金の10%の手数料(フード、自社海外サイト除く)を同社に支払うだけでよい。「30%前後」とも言われる百貨店の販売手数料と比べて安く、事業者が受け取る手取りも増える。

実はオンラインで伝統工芸品を売ろうという構想は「コロナ以前」からあった。しかし、単価が高い伝統工芸品は「対面販売でないと売れない」というのが業界の通説だった。職人側も「いいものをつくれば売れる」と考え、販売は百貨店や専門店に任せることが多かった。

実店舗依存からの脱却が成長のカギ

ふたを開けてみると、売れ行きは好調で「第1弾に参加した事業者の8割が『とても良かった』との回答があった。中には月100万円以上を売り上げる事業者もいる」(丸林耕太郎社長)。クリーマは器以外にもオンライン販売の対象を拡大し、7月17日には西陣織のネクタイや清水焼のアクセサリーなど26事業者が加わった。

伝統工芸品業界は職人の高齢化、後継者不足が深刻化しており、「コロナがなくても5~10年以内には廃業が増える」との見方があった。コロナ禍によって時間の猶予はなくなっている。ものづくりの伝統を大切にしながら、実店舗に依存する「一本足打法」から脱却できるかが、事業継続のカギとなりそうだ。

馬渕 次郎 スタートアップライター

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まぶち じろう / Jiro Mabuchi

一橋大学を卒業後、上場メーカーで経理業務を経験。大手メディア企業に入社し、幅広い産業や資本市場の取材、媒体の編集業務に携わる。現在は公認会計士として企業の財務諸表監査を軸に、スタートアップ関連の情報発信や執筆活動にも従事している。

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