コロナが原因で終わった婚活カップルの「事情」

「不要不急の外出」についての考え方の違い

ところが2月に入り、ダイヤモンド・プリンセス号の船内感染が報じられるや、どこか他人事だった新型コロナウイルスが、急に身近な脅威に感じるようになった。しかし、この時期は、飲食店もそのほかの商業施設も普通に営業をしていたので、俊哉は週末になると朋美をデートに誘っていた。

「14日のバレンタインデーに、朋美さんからチョコレートをいただきました」

お見合いから約1カ月後には、結婚を前提とした“真剣交際”に入っていたので、楽しいバレンタインデーを過ごしたようだった。何もかもが順調で、このまま2人は結婚に向かっていくことを私は信じて疑わなかった。

ところが、3月に入り俊哉から、面談の申し入れがあった。

コロナが蔓延している中でのデートが「ストレス」

事務所にやってきた俊哉が、浮かない顔で言った。

「この間、朋美さんからLINEが来たんです。『コロナの感染者が日に日に増えていく中で、毎週末デートをしていたことにすごくストレスを感じていた』と。『コロナが落ち着くまでは、会うことを控えたい』と書いてありました」

お見合いで出会ったカップルが会わなくなると、関係が終焉に向かっていくというのは、婚活経験者なら、誰もが知っていること。それは婚活での出会いと生活圏内での出会いとでは、そもそも出会いの性質が違うからだ。

生活圏内の出会いは、学校、会社、取引先、サークル活動など、自分が行動している域で出会い、最初は付き合うことなど意識せずにコミュニケーションを取っていく。その中で恋愛感情が芽生えて恋人同士となり、そこからさらに関係を築いて結婚へとつながっていく。恋人同士になるときも結婚するときも、相手を大切に思う気持ちが出来上がっている。

ところが、婚活の出会いは、“結婚”という目的のために男女が出会う。1時間程度のお見合いで相手を見極め、交際になった時点で“結婚”というゴールに向かって付き合いがスタートするのだが、まだ相手を好きになる気持ちが育っていない。結婚を目指す空の箱ができたような状態だ。なので、頻繁に会って一緒にいる時間を重ね、空の箱の中を相手への気持ちでいっぱいになるように埋めていかないと、結婚まではたどり着かない。

生活圏内の出会いのように、自分の行動範囲に相手がいるわけではないので、会う時間はお互いに努力して作り出さないといけない。それができなければ何回お見合いをしても、結婚までは至らないのだ。

俊哉が言った。

「毎週会って、バレンタインデーのお祝いも一緒にして、うまくいっていると思っていたのは、自分だけだったんですよ。朋美さんは、コロナの状況下で毎週会うことにストレスを感じていた。それを聞いて、すごくショックでした。これまでの出会いの中でいちばんいいなと思ったし、仮交際からトントン拍子で真剣交際に進んだのに、このまま会えない日が続いたら、関係が終わってしまうような気がするんです」

次ページ会えないから終わる、という通例は当てはまらなくなった
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