そこで、私はこうアドバイスした。
「婚活の出会いは、会わなくなると関係が終わってしまいがちになるけれど、コロナが蔓延している今は、会えないことにもちゃんとした理由がある。誰もが経験したことのない異例の事態なのだから、会えないから関係が終わるという、これまでの通例は当てはまらない気がするの。会えるようになるまでは、LINEや電話でコミュニケーションを取っていきましょうよ」
この時点でコロナがいつ収束するか、その見通しはまったく立っていなかったが、4月に入ると緊急事態宣言が出され、さらに身動きが取れない状況になった。
コロナをどう捉えるかで、カップルの明暗は分かれる
婚活で出会い付き合っていたカップルは、緊急事態宣言期間中に明暗を大きく分けたように思う。それは、“コロナとどう向き合うか”の考え方にかかっていた。
婚活は一生の伴侶を探すこと。デートは不要不急の外出ではないと考えていたカップルは、どちらかが運転する車で郊外にドライブに出かけたり、広い公園に行ったり、ウイルスに感染しないような方法を見つけ、会う時間を作り出していた。
ところが、どちらか1人がコロナに敏感で、“たとえ3密を避けたとしても、ソーシャルディスタンスを守ったとしても、外に行けば感染のリスクがある”と思っていると、一方が会いたいと思っていても、そのカップルは会うことができなくなってしまう。
朋美は、コロナにとても敏感だった。会社に行くことにもストレスを感じていたし、感染リスクをおかしてまでデートをしたいとは思っていなかった。
俊哉は朋美と会えなくなったことが寂しかったが、毎日LINEをし、時には電話で話すことで、なんとか関係をつないでいこうと頑張っていた。
そして、5月に入り、また私に面談の申し出をしてきた。
ゴールデンウィークに事務所にやってきた俊哉が言った。
「もう朋美さんと会えなくなって2カ月になります。緊急事態宣言はいつ明けるんですかね。ただ彼女がこんなにもコロナに敏感だと、緊急事態宣言が明けても、すぐには会えないような気がします」
すっかり肩を落としていた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら