オンライン就活でも重い「ミスマッチ」の大難題 企業と学生が「お互いに不幸」とならないために
発表を終えると、男性社員から次々と質問が飛んできた。「コアなファンがいるといった前提で話をしているのか。その根拠は?」「その彼らをどのようにサイトへ誘導するのか」。電波が悪いのか、社員の音声が途切れ、聞き取れないこともある。
そこは前後の文脈から判断するしか方法がなかった、と石井さん。最後には「クライアント企業のことを綿密に調べていたね」などのフィードバックがあり、選考は終わった。結果は1カ月後だという。
石井さんは「オンライン就活は楽」と言いつつ、ミスマッチへの不安も抱く。
「オンラインだと開始直前まで準備ができるし、自分のペースで話せる。対面よりずっといい。でも、すでに内定をもらっている別の企業の場合も、説明会から1次、2次、最終面接まで全部Zoom。今日の会社も同じです。就職先を肌身に感じないで選んでいいのかな、と。本当は社内の雰囲気や社員さんの人柄を実際に感じたい。会社へのアクセスや周辺も気になるし」
「オンラインだけだと怖いので、同じ大学のOBにSNSでアポを取り、『オンラインでのOB訪問を』と頼んできました。1つの企業で2、3人。OB訪問は本来、学校の就職相談室を使うのですが、大学は閉鎖だし、自分で行動するしかない、と思います」
6割の企業が「必ず直接会う」
企業の採用支援を行うプレシャスパートナーズ(本社・東京都新宿区)が2021年春に卒業予定の大学生を対象に実施したインターネット調査によると、「就職活動時、知りたい情報はなんですか」という問いに対し、83%が「会社の雰囲気」と答え、以下、「働く社員の声」「経営者の考え方や人柄」が続いた(複数回答)。
他方、企業を対象にした同社のネット調査(回答256社)によると、採用の全プロセスをオンラインで対応している企業は71社(28%)。全プロセスではないものの、「実際に会って互いを見極める機会としたい」などの理由で、155社(60%)は最終面接までの間に実際に会う機会を設けていた。
プレシャスパートナーズの担当者も、オンライン就活でのミスマッチの恐れを指摘する。
「学生にしたら、PCだけでは社内の様子を感じ取れないため、オンライン採用だけでは相手先企業を十分に理解できていない可能性がある。企業側も『ミスマッチにならないか』という不安を抱え、ミスマッチをなくすためにさまざまな取り組みをしています」
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