コロナで露呈した米国「ファックス依存」の実態 実はデジタル後進国だった?
「データに抜け漏れがあると、空白を埋める作業が必要になる。検査実施機関に問い合わせたり、別のデータベースと照合したりしているが、これには時間がかかる」とハミルトン氏は話す。
ファクスはミスの温床
トランプ政権は6月上旬、あるガイドラインを発表している。公衆衛生当局が人口動態面からコロナの感染状況を細かく把握できるよう、検査機関に感染者の年齢、人種、民族的なバックグラウンドの報告を要求したのだ。
ただ、この規則は8月まで効力を持つことはなく、感染者の住所と電話番号については情報提供が「望ましい」と述べるにとどまり、義務づけには至っていない。
この種のデータは一般に、病院や診療所から検査ラボ、公衆衛生当局の間を行き来し、その過程で行方不明になることが多い。
情報の伝達手順も一様ではなく、さらに各段階の技術的な不具合によっても重要情報の伝達が遅れたり、混乱したりするおそれがある。病院や診療所は必ずしも検査ラボと電子的なシステムでつながれているわけではない。
検査ラボのソフトウェアが、公衆衛生当局でのちのち必要になるデータを除外することもままある。そして、ファクスや表計算ソフトのスプレッドシートで情報を送れば、コンピューターに手作業で情報を再入力する必要が生じ、入力ミスの危険性まで高めることになる。
(執筆:Sarah Kliff記者、Margot Sanger-Katz記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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