世界中でコロナウイルスの猛威が止まりません。ピリピリした雰囲気のなか、国同士のぶつかり合いも目立ちます。マスクを入手するためにアメリカが市場価格を大きく上回る値段を中国に支払い、既に契約を結んだ欧州の国から契約を奪い取ったというニュース(※1)も報じられました。
フランスの政治家が「中国に発注していたマスクをアメリカに横取りされた」と話し、アメリカの高官が「それは嘘だ」と語る(※2)など、まさに国同士の「マスクの奪い合い」が起きています。
しかしコロナウイルスが登場する前から「マスク文化」が根付いていた日本や韓国などのアジア圏とは違い、欧米ではコロナウイルスが登場してからも、初期段階では「マスクをする人」はそれほど多くありませんでした。マスクで風邪はもとよりコロナウイルスの感染を防ぐことはできない、というのが欧米のコンセンサスだったはずです。
マスクの奪い合いをするまでにはどのような変化があったのでしょうか。マスクを通して見えてくる海外の習慣や文化にもスポットを当てながら考えてみたいと思います。
「マスク論争」で二転三転する欧米人
当初WHO(世界保健機関)は「マスクの着用は必ずしも新型コロナウイルスの感染予防にはならない」(※3)としていました。ところが4月になってからWHOはマスク着用に関する指針を一部変更し、自分が感染している場合に他の人にうつさないためには効果があるという見解を示しました(※4)。
ドイツを含む欧米のメディアも最近は日本や韓国の「マスク文化」を好意的に報じるようになりました。
たとえばドイツのFOCUSという雑誌のオンライン記事(※5)の中では、アジアについて「周囲の人を護るためにマスクをする人が多く、それがまわりまわって自分への感染を防ぐことにつながっている」と評価しながら、欧米に関しては「マスクの着用によって他人から感染することを防げないならば、マスクはしなくていいやという自己中心的な姿勢が西洋では目立つ」と非難しています。
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