ノーベル賞経済学者が語る「未知の領域」
「家の中にいても、人々が緊張しているのは明らかです。聞こえてくるのは、救急車のサイレンの音だけなのですから……」
われわれ取材チームの急な依頼に、ニューヨークの自宅から自らコンピューター画面を動かし調整しながら答えてくれたジョセフ・スティグリッツは、早速現状分析を始めた。
「短期的には、今日、ヨーロッパの経済指標が急落しているのは、社会的距離と呼ばれるものがもたらしています。しかし、中長期的には、さまざまな問題が顕在化してくるでしょう。個人や企業のバランスシートが侵食されそうです。
多くの企業は強い流動性の問題に直面するでしょう。それは、もちろん重要なこととして総需要の問題がありますが、流動性の問題であり、供給側の問題でもあります。この問題から抜け出すためには、ある種の技術と思慮深さが必要になり、未知の領域と呼べるかもしれません」
スティグリッツが「未知の領域」と表現する、世界経済の混乱。経済の問題としても、もはや長期戦になることは避けられない状況だが、今回の場合、そこにはなんとももどかしい、人と人との壁が存在する。「技術」と「思慮深さ」はどのように発揮されるべきか?
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