社会的距離を越えてコロナの時代と向き合う 世界の知性が問う今後の「グローバル経済」

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そうしたデジタルな人工世界に、原始以来の生命体、ウイルスという「異物」が入り込んだときのもろさを、今私たちは現在進行形で経験している。日々、「社会的距離」など取りようもない満員電車で、「人材」を詰め込むだけ詰め込んで運ぶことで「効率」性を生んできた都市、経済、社会システム。その前提が壊されようとしているのだ。

異端の奇才が語る「人類への連帯テスト」

例によって、いかにも彼らしいと思わずにはいられない表現で、現在の試練を語り出してくれたのは、トーマス・セドラチェクだ。幼少期に社会主義を経験し、自由主義化した後のチェコ共和国で大統領の経済アドバイザーも務めた「異端の奇才」の言葉は、例によって静かだが熱い。

「なぜなら、アイデンティティーや連帯感、グループ感を形成できるものは外敵以外にありません。欧州統合の問題点の1つは、外敵がいないことです。統合するまでは、私たちはいつも争ってきました。ドイツ人対チェコ人、スコットランド人対イギリス人、フランス人対誰か、カタルーニャ人対スペイン人、等々。

しかし、外敵はいませんでした。欧州の紙幣に英雄の肖像がないのは、これが理由です。今では橋や門しか印刷されていません。他国から見て悪者だと思われていない欧州の英雄について、各国の意見が一致することは非常に難しいのです。

だから今、初めて、もしかするとこの地球の歴史上初めて、人類は共通の敵を相手にしています。そしてこれもまた、誰のせいでもありません。裏切り者はいません。ただ起きてしまっただけで、どこでも起こりうることなのです。

しかし、ここで相手にするのは共通の敵であり、私たちを団結させることができるものをやっと手に入れたのです。地球に向かって飛んでくる小惑星やエイリアンの侵略がその役割を果たすかもしれませんね。エイリアンの侵略をきっかけに世界が1つになるという映画はありますよね。今回の危機は、少しソフトな形の侵略かもしれません。

私たちには共通の敵がいます。人種や国境、富、重要性、どれ程賢いかなど関係なく、全人類にとって。これは本当にきちんと対応すれば、チェコ人、スロバキア人、ドイツ人、イタリア人、フランス人……それぞれが集まる小さな集団ではなく、人類が一丸となる1つの大きな集団として強くなれるはずです」

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