コロナ後「モメない職場」がますます危うい理由 「生産性」と「幸福感」を両立させる方法

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青野:おっしゃるとおり。事前に議論でもめたほうが、あとが早い。お客さんの所に行ってもめてしまったら、そこからの手間は社内でもめる手間の比ではありません。議論の段階で大いにもめておいたほうが問題点もたくさん見つかって、みんながさまざまな懸念も共有したうえで行動するようになります。だから、あとがスムーズに進むんです。

意思決定の速度を上げるためのルール

ピョートル:僕は「Disagree and Commit(意見は異なるけど、協力する)」という言葉をよく紹介しますが、チームの議論で「こういう方向に行こうよ」と決まったら、100%賛成じゃなくても取りあえずやるというのがプロフェッショナリズムの前提です。議論でもめた末にたどり着いた決定事項は、最終的には自分の価値観で決めた答えでしょう。だったら、それにコミットできるはずです。

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ただし、やる気とスキルのバランスも大事ですから、スキルがあってもやる気がないなら参加しないほうがいい。そのプロジェクトではなく、ほかのことを一生懸命やってもらったほうがいいと思います。そのへんの見極めも、やっぱり「本気でその人を見る」というチームリーダーの普段のコミュニケーションに関わってくる事柄でしょうね。

青野:議論の進め方の大事な前提として、最後にもう1つ。それは「誰が決めるのかを決めておく」ということ。日本企業は意思決定に時間がかかってしまいがちです。なぜ遅いのかと言うと、誰が決めるのかよくわからなかったり、決める人が何人もいて全員が「はい」と言わない限り前に進まなかったりするからです。なので、意思決定はシンプルにしたほうがいいと思います。

サイボウズでは、「起案者が1人、承認する人が1人」という仕組みになっています。メンバーの1人が「やらせてください」と言って、そのチームのリーダーが「どうぞ」と言えばどんどん前に進む。マネジメント層が現場に権限を渡していくというのも、チームワークを高めることにつながると思います。

ピョートル:結局、リーダーシップというのはプロセス、現象なんですよね。リーダーが旗を振って「オレについてこい」と言っても、それに何らかの反応をするメンバーがいないと、次の現象は起こらない。反応とか選択とか決定とか、そういうチーム全員の言動の瞬間が積み重なって、初めてリーダーシップは成立します。つまり、メンバーが「これが欲しい」と言ったときにちゃんと反応するのがリーダーの役割です。

権限委譲というのは、その意味でも必要なこと。何でも「ちょっと待って、ボスに聞いてから」では、決して有効な反応とは言えません。もちろん、メンバーがロボットになってもしょうがない。できるだけ自由を与えて、それぞれの仕事の枠を超えてみんなで議論したほうが新しいアイデアが生まれます。そのときにチームに権限が渡されていたら、がんがんチャレンジできるんですね。

青野 慶久 サイボウズ代表取締役社長

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あおの よしひさ / Yoshihisa Aono

1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現・パナソニック)を経て、1997年、愛媛県松山市でサイボウズ株式会社を設立。2005年より現職。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を7分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。総務省、厚労省、経産省、内閣府、内閣官房の働き方変革プロジェクトの外部アドバイザーや一般社団法人コンピュータソフトウェア協会の副会長を歴任

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