コロナ後「モメない職場」がますます危うい理由 「生産性」と「幸福感」を両立させる方法
青野:新しいアイデアのもとになる個人のわがままとチームワークをどうつなげるのか。まさにこれがチームビルディングですが、どういうふうに議論するのかというメソッドを持っておいたほうがいいと思います。
例えば、サイボウズには「理想マップ」や「コンセプト」という考え方があります。つねに企業理念という理想に照らし合わせて、これはどうなんだろうと考えながらアイデアを出していく。あるいは、つねにそのプロジェクトのコンセプト、「誰に何て言ってもらいたいのか」を前提にして議論を進めるわけです。
社内でのもめごとを歓迎したほうがいい理由
ピョートル:僕はよく「ケンカは価値観の共有」と言っています。議論する中で感情が湧いているのはお互いの価値観が違っているということ。つまり、もめているときは自分が何を大切にしているのかということを表現できる、あるいは認識できるチャンスなんですね。
価値観の後ろの価値観、意図の意図をお互いに確認していくと、どこかのレベルで必ずつながっていることがわかります。例えば、プレゼン用のスライドをみんなでつくるとき、この部分の色をピンクにするかグリーンにするかでもめたら、何でその色がいいか、面倒くさがらずに、しっかり話し合ってみる。そうすると、単なる好き嫌いで終わらない建設的な会話になるはずです。
青野:まさにお互いのわがままの落としどころを決めるための議論のメソッド、それが理想マップだったり、コンセプトだったりします。スライドの色をピンクにするかグリーンにするかで言えば、このプロジェクトのコンセプトから見てどうなのかと議論していく。つまり、議論の前提となるコンセプト、「◯◯社の社長さんに◯◯と言ってほしい」という共通の理想をみんなでつくっておくことが重要なんですね。それがあれば、より建設的に色の使い方や言葉の選び方、資料の内容といった細部の議論も深められるわけです。
ピョートル:アウトプットの効果とリスクにも大きく関係します。ちゃんと議論しておかないと、どうしてもアウトプットのクオリティーが下がります。「もっと議論すれば、もっとかっこいいものがつくれたのに」といったことが起こる。そもそも人は自分が知っている世界の中だけで動いているから、議論しないと、知らない世界のことを知らないままアウトプットしてしまうというリスクがあります。要するに、お客さんに怒られる前に、まず社内でがんがんもめておいたほうがいいんですね。