コロナ後、日本人を襲う「仕事・働き方の大激変」 「プロしか食えない」「レスの時代」が到来する

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その変化を先取りし、先手先手を打たなければ、私たちはコロナの大渦に呑み込まれてしまうだろう。

世界経済は大きく縮む。当面はコロナ前と比較して「30%エコノミー」「50%エコノミー」を想定せざるをえない。その先においても、「70%エコノミー」が妥当な予測だろう。

それぞれの会社は、まずは「縮んだ経済」に合わせて、身を縮めるしかない。生き残るためには、痛みを伴う施策を断行せざるをえない会社も出てくるだろう。

だが、コロナ・ショックは日本にとって、必ずしもマイナスばかりではないと私は考えている。むしろ、平成の「失われた30年」という「緩慢なる衰退」から脱却し、力強い再生へとシフトする千載一遇のチャンスである。

中途半端に沈んだまま、もがきつづけるより、どん底まで沈んだほうが反転力は強くなると私は期待したい。それだけの回復力、潜在力が、この国にはあるはずだ。

「プロの時代」「レスの時代」の幕開けになる

そして、それは日本企業が競争力を取り戻し、業績を回復させるだけにとどまらない。むしろ、経済的な側面よりも、日本人の価値観や働き方を大きく変え、日本という国が真に豊かで、幸せな国になるための好機だと私は捉えている。

コロナ・ショックは、ビジネス社会における「プロの時代」の幕開けになる。滅私奉公的なサラリーマンは淘汰され、高度専門性と市場性を兼ね備えた「プロ」が活躍する時代へと突入する。競争は厳しくなるが、「個」の活性化なしに、この国の再生はありえない。

そして、働き方においては「レスの時代」の幕開けとなるだろう。「ペーパーレス」「ハンコレス」にとどまらず、「通勤レス」「出張レス」「残業レス」「対面レス」、さらには「転勤レス」といった新たな働き方がこれから広がっていく。

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こうした新たな動きによって、無用なストレスは軽減され、私たちは人間らしさを取り戻していく。その結果、経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさも手に入れることができるはずだ。

コロナという「目に見えない黒船」は、この国を再生させる大きなきっかけになりえる。私たちは「コロナ・ショック」を、自らの手で「コロナ・チャンス」へと変えなければならない

本書では「企業」「仕事」「働き方」という3つの視点で、ポストコロナの世界を展望してみたい。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

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えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

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