2021年のオリンピックで注意すべき感染症
グローバル化が進み、人や物が国境を越えて頻繁に出入りする世界は、そうなる前の世界に比べてパンデミックが起こりやすいとされています。
実際、新型コロナウイルスも、2019年末に中国の武漢市で感染が確認されてから、あっという間に世界に広がりました。新型コロナウイルスは収束しても、別のウイルスで感染症が「輸入」されてしまう可能性は、十分にありうる話です。
そう考えると、2021年に延期された東京オリンピックでも警戒が必要です。
実は、2020年東京オリンピックについても、私たち医療従事者の間では感染症への危機意識が共有されていました。新型コロナウイルスが騒ぎになるよりも、ずっと前からの話です。専門家は、ごく自然な発想として、「国境を越えて人が多く集まる機会=感染症が流行する可能性」ととらえているのです。
オリンピックの延期によって、仮に新型コロナウイルスが、また新たに大量に入ってくる懸念はほぼ払拭されたとしても、感染症にかかる危険がなくなったわけではありません。気をつけるべき感染症の例を挙げておきましょう。
麻疹ウイルスは空気感染します。しかも潜伏期間は約10日間と比較的長いため、1人の感染者から爆発的に広がる可能性があります。発展途上国などでは致死率は3%程度であり、安堵することはできません。大人が感染すると脳炎などを起こすこともあり、重症化しやすい感染症です。
髄膜炎には、細菌性のものとウイルス性のものがあるのですが、細菌性の致死率は20%と非常に高くなっています。そのため、専門家の間では、とくに髄膜炎菌感染症が非常に警戒されているのです。
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