日本人は「はしか流行」の怖さをわかってない 予防接種1回のみだと免疫には不安が残る
麻疹(麻しん、はしか)が流行している。10月2日、東京都品川区の企業で集団発生が報告された。品川区によれば、10月4日時点で10人の患者の診断が確定した。
流行は東京だけでない。9月以降、静岡県藤枝市や神奈川県横浜市でも発生が報告されており、流行は全国で確認されている。国立感染症研究所によると、2019年の麻疹報告数はすでに700例を超えており、近年で最も多い。
もちろん、これは氷山の一角だ。私を含め、多くの医師は麻疹を診察した経験が少なく、見落としている可能性も高い。
麻疹とは麻疹ウイルスによって起こる感染症だ。東京都福祉保健局のホームページによれば、「約10~12日間の潜伏期間の後、38度程度の発熱やかぜの症状が2日から4日続き、その後39度以上の高熱とともに発しんが出現する。主な症状は、発熱・発しんのほか、せき、鼻汁、目の充血など。合併症として、肺炎、中耳炎、まれに脳炎、失明などがある」という。
過去10年にわたり6回流行している
麻疹ウイルスは感染力が強く、せきやくしゃみによる飛沫だけでなく、病原体粒子が空中を漂い、離れたところにいる人も感染する。これを空気感染といい、食い止めるのは難しい。
麻疹が怖いのは合併症を起こすことだ。重要なのは肺炎(15%)と脳炎(0.2%)で、時に致死的となる。医療が発達したわが国でも致死率は0.1~0.2%とされている。
わが国は麻疹の流行を繰り返してきた。過去10年間に限っても2012、2014、 2015、2016、2018年、そして今年と6回も流行している。
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