東京五輪で警戒すべき「コロナ以外」の怖い病気 感染症が「輸入」されるリスクと向き合う

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髄膜炎菌感染症は飛沫感染、接触感染する感染症であり、イスラム教の聖地・メッカで、たびたび感染爆発を起こしたことでも知られています。メッカといえば、何千、何万人という人たちが、ひしめきあって巡礼する場所ですから、感染が広がりやすかったのでしょう。今では、メッカ巡礼の旅に出るイスラム教徒に、髄膜炎菌の予防接種が義務付けられています。

アメリカや日本でも、寮生活に入る前などに、接種を義務付けられる学校が多くあります。

実は、2019年、日本で行われたラグビーワールドカップでも、1人のオーストラリア人観戦客が、髄膜炎菌感染症を発症していたことがわかっています。あまり大きく報じられなかったのは、幸い、この方が回復し、感染も広がらなかったからでしょう。

とはいえ、メッカでたびたび感染爆発を起こしてきた感染症ですから、日本でも感染が拡大し、死者が出てもおかしくありませんでした。防御なしで大勢の人が集まるなか、飛沫感染も接触感染も起こらなかったのは、運がよかったのです。

麻疹にも髄膜炎菌感染症にも、ワクチンがあります。とくに競技が行われる地域に住んでいる人や、オリンピック観戦の予定がある人は、これらの予防接種も受けておくことを強くおすすめします。

・デング熱、ジカ熱、チクングニア熱――日本も無縁ではない蚊媒介感染症

デング熱というと、2014年の日本での感染例を覚えている方も多いでしょう。最終的には全国で約160人の感染が確認されました。

また、さらに遡ること70年以上前の1942〜1945年には、より大規模な感染拡大が起こり、1942年だけで1万7000人余りもの感染者が確認されました。この時の最初の感染源は、南方から帰着した軍用船に紛れ込んでいた蚊だったと、当時、特定されています。

デング熱は、軽症の場合は、発熱、眼窩痛(がんかつう)・筋肉痛・関節痛などが起こり、食欲不振、腹痛、下痢を伴うこともあります。デング熱には1〜4までの4種類のウイルスが存在します。たとえば、初回に「デング1」にかかると、その後デング1には感染しません。しかし、他の種類、たとえば2、3、4にかかってしまうと重症化してしまうことが知られています。それが「デング出血熱」といわれる状態です。

ショック状態から死に至る可能性もあります。デング熱によって起こる頭痛はかなりひどいものが多く、決して軽視はできない感染症といえるでしょう。

リオ五輪は、ジカ熱の流行で妊婦の入国自粛も

ジカ熱も、16症例とわずかながら、日本でも感染例が報告されています。すべて海外渡航歴のある人による「輸入症例」あり、やはり、世界中から人が集まる機会には、警戒が必要でしょう。

発症するとデング熱と同様、発熱や体の痛みが起こりますが、どれも比較的軽く、解熱鎮痛剤で収まることが大半です。

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