新型コロナウイルスによる緊急事態宣言がようやく解かれ、もろもろのリスクを抱えつつもかつての日常を取り戻そうと動き出した今、私たちはどのようにして“アフターコロナ”を見据え、歩みを進めていくべきなのか。そして、このような状況下において“成功をつかむ”にはどういった考え方が必要なのか。
『ヨコで読む大人の世界史』を著した学研プライムゼミの人気世界史講師・齋藤整氏に、14世紀のヨーロッパで大流行したペストの克服に成功したイタリアと、逆に失敗してしまったドイツの事例をもとに語ってもらった。
ほぼ同時期に発生した「ペスト」「地震」「バッタの襲来」
14世紀、中国の雲南(あるいはミャンマー)から発生したとされるペストは、モンゴル人のヨーロッパ進出にあわせ、瞬く間に西欧へと運ばれました。
ペストが流行する前、西欧には不吉な前兆が見られました。1333年にはシチリア島のエトナ火山が噴火し、それと同時期に大量のバッタがアフリカから上陸して農作物が食い荒らされ、飢饉が発生しました。そして1348年1月、ギリシヤを震源とする巨大地震がイタリア各地を襲ったのです。
ペストがイタリアのフィレンツェに上陸したのは1348年半ばのことでした。詩人ボッカチオは、彼の作品『デカメロン』において、「毎日おびただしい数の死者が運ばれて埋葬が間に合わず、壕を掘って一度に何百人もの遺体を埋めた」と、花の都フィレンツェの荒廃を嘆いています。
イタリアで拡大したペストは、その後ヨーロッパを北上し、フランス、ドイツへとさらに勢力を広げていきました。
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