「これまで聞いたことがありませんね。だって中国語は基本ですから、毎日40分授業を2回はやっています。英語は週3回程度なので、国語(中国語)と重みが違いますから」
こう言われると身も蓋もない。逆になぜ日本では「母国語習得を妨げる」と言われるのか、こちらが聞きたくなるくらいだ。
1990年代になると、英語教育へ一気に追い風が吹いた。それは国を挙げての北京オリンピックの招致活動だ。
1989年に天安門事件があり、国際社会には北京オリンピック開催を問題視する声があったため、招致は必ずしも順調には進まなかった。
しかし巻き返しを狙った中国は、1999年に北京市とオリンピック招致委員会がタイアップして、「北京市民が英語を話す」委員会を設立した。
当時、北京市民向けに作成された教材「Olympic English 100」には、日常的な英語の基本表現として挨拶や「ありがとう」「すみません」といった簡単な会話が掲載された。
さらに、時刻や天気、北京を訪れた外国人の道案内や買い物を手伝う際に使う会話などが紹介された。タクシーの運転手には、最低限の英会話取得が義務づけられた。
中国政府は小中学校での英語教育にも徐々に力を入れてきた。当時の義務教育の指導目標は次のとおりだ。
・2800(小学校から開始)または2200(中学校から開始)の単語と慣用句を習得する
・辞書を使って中難度の文章を読解できる
・一定程度の「聞く・話す・書く・翻訳する」能力を備える
日本では昨年度まで、小中学校で学ぶ英単語数は1200語だったが、今年度から大幅に増やし、小学校で600から700語、中学校で1600から1800語を学習することになった。つまり、義務教育期間において2200~2500語を習得するのが目標だ。
つまり、やっと中国の1980年代並みになったといえる。そんなことからも日本の英語教育は中国に大きく後れを取っていることがうかがえるのだ。
(第2回に続く)
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