中国は2001年から小学校に英語教育を義務化
「北京オリンピックで社会の雰囲気が英語を重視するようになって、英語塾も増え、親たちは子どもを留学させるのに熱心になりました」
こう答えたのは北京の超名門小学校で、英語を4半世紀にわたって教えてきた女性教員だ。
今年1月、早稲田大学の大学院で中国の早期英語教育を研究していた筆者は、卒論の最後の仕上げのために北京で現地調査を行っていた。
当時、北京で新型コロナウイルスに対する警戒感はみじんも感じられず、春節休みに入ったばかりの街中は多くの観光客の姿があった。
春節を前に中国の学校は、1カ月程度の冬休みとなる。インタビューに答えてくれた教員も、その翌日から休暇に入るところだった。
「2001年に英語教育は小学校1年生から義務化となりました。当校では以前から英語を重視した教育を行っていましたが、このころから小学校入学前から英語塾に通う、子どもが増えたと思います」
2001年は2008年の北京オリンピック開催が決まった年だ。この年、中国はWTO(世界貿易機関)への加盟も決まり、天安門事件で国際社会から孤立した状態を巻き返すべく、英語教育に猛然と進むことになった。
さて、今年4月は日本の教育制度にとって大改革のスタートになるはずであった。授業のアクティブラーニング(※)導入、小学校の英語教育やプログラミング教育スタート、大学入試改革もあったが、新型コロナウイルスの感染対策で3月から全国一斉休校となり、すべて出ばなをくじかれたかたちとなった。(※文科省は「主体的・対話的で深い学び」とした)
とはいえ小学校では、5年生から英語が科目として義務化されることになった。小学校の英語教育義務化は、近隣国では中国に遅れること19年、韓国には23年遅れてのスタートだ。
こうした英語教育への取り組みの遅さが、英語能力に反映しているのか、英語を母国語としない人を対象にしたテストである「TOEFL」の国別スコアをみると、日本は2006年以降一貫して中国にリードを許している。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら