日本と中国「英語を学ぶ環境」の決定的な差 今春ようやく小5から義務化されたが周回遅れ

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歴史的な経緯を振り返るとその理由が見えてくる(写真:nonpii/PIXTA)
今年4月は日本の英語教育にとって大改革に向けた華々しいスタートになるはずであった。小学校5年生からの英語教育義務化が予定されていたからだ。しかし、新型コロナウイルスの感染対策で3月から全国一斉休校となり、出ばなをくじかれたかたちだ。一方、実は中国の小学校で英語が義務化されたのは19年前。なぜ日本の英語教育は遅れ、中国は進んだのか。そしてその結果は?
今回から5回の連載で、「英語先進国」中国のこれまでと現在をレポートする。

中国は2001年から小学校に英語教育を義務化

「北京オリンピックで社会の雰囲気が英語を重視するようになって、英語塾も増え、親たちは子どもを留学させるのに熱心になりました」

5回連載で「英語先進国」中国のこれまでと現在をレポートします(画像をクリックすると公開中の連載記事一覧にジャンプします)

こう答えたのは北京の超名門小学校で、英語を4半世紀にわたって教えてきた女性教員だ。

今年1月、早稲田大学の大学院で中国の早期英語教育を研究していた筆者は、卒論の最後の仕上げのために北京で現地調査を行っていた。

当時、北京で新型コロナウイルスに対する警戒感はみじんも感じられず、春節休みに入ったばかりの街中は多くの観光客の姿があった。

春節を前に中国の学校は、1カ月程度の冬休みとなる。インタビューに答えてくれた教員も、その翌日から休暇に入るところだった。

「2001年に英語教育は小学校1年生から義務化となりました。当校では以前から英語を重視した教育を行っていましたが、このころから小学校入学前から英語塾に通う、子どもが増えたと思います」

2001年は2008年の北京オリンピック開催が決まった年だ。この年、中国はWTO(世界貿易機関)への加盟も決まり、天安門事件で国際社会から孤立した状態を巻き返すべく、英語教育に猛然と進むことになった。

さて、今年4月は日本の教育制度にとって大改革のスタートになるはずであった。授業のアクティブラーニング(※)導入、小学校の英語教育やプログラミング教育スタート、大学入試改革もあったが、新型コロナウイルスの感染対策で3月から全国一斉休校となり、すべて出ばなをくじかれたかたちとなった。(※文科省は「主体的・対話的で深い学び」とした)

とはいえ小学校では、5年生から英語が科目として義務化されることになった。小学校の英語教育義務化は、近隣国では中国に遅れること19年、韓国には23年遅れてのスタートだ。

こうした英語教育への取り組みの遅さが、英語能力に反映しているのか、英語を母国語としない人を対象にしたテストである「TOEFL」の国別スコアをみると、日本は2006年以降一貫して中国にリードを許している。

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