クチコミ機能をパワーUP グルメも伸ばすカカクコム

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要望にはスピード対応 「食べログ」も成長中

 価格.comの再成長に加えて、第2の柱に期待できそうな事業も現れた。得意のクチコミ機能を生かして05年に開設した、飲食店クチコミサイト「食べログ」である。街の居酒屋やレストランの感想や評価(満足度)を、利用者がブログ形式で書き込めるというサービスだ。現在ではお取り寄せ商品などのクチコミや、コミュニティ機能も持つ。

 08年1月の月間利用者は466万人、総投稿数37万件、掲載店舗数15万店弱。飲食店サイトの中のクチコミ系としては首位で、飲食店専門サイト全体でも、首位のぐるなびやホットペッパー(リクルート)に次ぐレベルにまで成長してきた。

 クチコミサービスとしては後発だったが、写真投稿機能を他サイトに先駆けて初めて採用。また飲食店を予算やジャンル別に検索できるようにするなど、使い勝手の改良を加え続けてきたことが功を奏した。

 食べログの専従スタッフは7人ほど。投稿のチェックはわずか1人で行っている。システム開発にはオープンソースのシステムを活用するなど、小回りの利く体制を取っている。これにより、クチコミサイトのキモともいえる利用者からの要望を、即座にサービスに取り入れることができる。そのスピードが競合他社との差別化につながっているのだ。

 今のところ、食べログによる収益は、検索連動広告で得られる月間1500万円程度にとどまり、まだまだ規模は小さい。田中実社長は「中途半端な規模で収益化を狙ってはダメ。ネットの世界では、1位かせいぜい2位までしか立ち行かない。利用者拡大を最優先に、年末までにはぐるなびに追いつきたい」と語る。

 トップクラスの利用者を獲得すれば、掲載している飲食店や飲料・食品メーカーなど、関連業界からの広告を獲得できるとにらんでいる。

 カカクコムでは、食べログ以外にも、旅行クチコミサイトの「フォートラベル」、マンション・街情報の「マンションDB」、映画クチコミサイトの「映画.com」など、利用者情報を基盤としたサービスを次々と投入している。デジモノの価格比較で培ったノウハウを生活領域全般に広げることで、企業としての成長を加速させることが狙いだ。すでに、アクセス数では非デジモノ商品のウエートが半分近くにまで増えた。

 各種情報サイトが百花繚乱、新機軸と若さを武器に話題を振りまいた時代は過ぎ、ネット関連企業間の成長力の差が急激に開き始めている。主力サイトのリニューアルにひとまず成功したカカクコムだが、食べログをはじめ第2第3の柱を担う専門サイトそれぞれの収益化をいかに成し遂げるか。時間との勝負だ。
(週刊東洋経済:丸山尚文 撮影:谷川真紀子、今井康一)

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