クチコミ機能をパワーUP グルメも伸ばすカカクコム
脱「デジモノ専業」十八番の投稿情報を強化
しかし、肝心な点で決め手を欠いた。ショッピングサーチと価格比較情報の検索機能が連動しておらず、同じ商品でも、価格比較と外部通販サイトとを別々に検索しなければならなかったのだ。つまり、約30万点の価格比較サイトという従来の域から実質的に抜け切れていなかった。それを、リニューアルを機に両者の検索機能を刷新・統合。1回の検索で価格比較とともに、外部サイトの商品情報や関連商品なども表示されるようにしたのである。
「総合ショッピングサイトととして、食品でも家具でもどんなキーワードで検索しても、何らかの結果が表示されるようにした」と田中社長。現在では、価格比較商品に加え、約1970万点の外部サイトの商品も一括検索できるようになっている。
さらに、価格.comのコアコンテンツともいえる、クチコミ掲示板やユーザーレビューといった、利用者からの投稿情報も強化した。これらがより目立つようなレイアウトに変更。また、商品の人気や満足度のランキングなども大きく表示し、消費者の目線を一段と強く意識したサイト構成に刷新した。
同サイトに投稿される情報は1日約4000~5000件。その商品を安売りしている店舗、商品の使い勝手や問題点、満足度など多岐にわたる。人気商品ともなれば1000を超える投稿が集まる。実際、価格情報よりもむしろ、投稿目当てにサイトを訪れる利用者も少なくない。
利用者参加型情報の価値は、利用者が多いほど倍数的に増大する。この投稿情報こそが価格.comの力の源泉ともいえ、リニューアルによって、その潜在力をパワーアップさせたのである。
今後は、クチコミ掲示板にさらに写真投稿機能を搭載する計画だ。利用者による商品写真や、実際にデジカメで撮影した写真を投稿してもらい、写り具合の参考にしてもらうなど、利用者間のコミュニティ的な魅力を高めて来店頻度の向上を促す。
カカクコムの収益源は、サイトに掲載した商品の売り上げに応じて支払われる手数料(集客サポート)、直販パソコンやADSL回線などを販売して得る手数料(販売サポート)、そしてサイト自体に掲載する広告の三つ。リニューアルによる利用者増で、検索連動広告が大幅に拡大、加えて表示型の広告収益も伸びている模様だ。メーカーが自由に記事を掲載できる「広告商品」への広告主の関心も、利用者の増加を背景に高まってきている。それらの結果、第3四半期の広告売り上げは、前年同期比7割増という高成長を達成した。
また、外部通販サイトに対する検索を強化したことで、価格.comで検索して、ヤフーや楽天などで購入する顧客が増えた。価格.com経由で商品が売れた場合は、売り上げの数%が手数料として入る仕組みになっている。これらの収益と、価格比較情報の掲載料からなる集客サポート事業も、第3四半期は前年同期比8割弱も急拡大している。