都知事選、「都債増発で公約実現」の落とし穴

東京都が「財政再生団体」に転落してしまう?

財政投融資は民間金融機関より長期・低利な上、将来の元利返済を国が地方交付税で面倒を見てくれる恩典まで付いている。

しかし、東京都は1954年度の制度創設以来、地方交付税(厳密にいうとそのうちの普通交付税)を一度も国から受け取っていない。地方交付税の分配額の計算上、税収が多い自治体には普通交付税が配られないからであり、そんな恩典があっても東京都には何のメリットもない。

極言すれば、国の同意なく、東京都は独自に都債を発行できる。そして、これまでの都債発行の実績を見て、民間金融機関も安心して都の起債に応じている。

赤字地方債の発行は「例外中の例外」

ただ、東京都も発行した都債の使途は限定されている。地方財政法第5条は、地方債発行で得た財源の使途を限定している。簡単にいえば、国の建設国債と似て、公共事業等に充てなければならない。地方債の使途は、国債より厳格である。

国は建設国債だけでは財源が不足するため、公共事業等に充てる金額を上回る国債を増発するために、赤字国債を発行している。しかし、赤字地方債の発行は例外中の例外だ。過疎部の事業や地方交付税が予定ほど受け取れなかった場合などに限られる。

赤字地方債の代名詞となっている臨時財政対策債は、地方交付税が配られる自治体だけが発行でき、東京都は発行できない。税収が見込みより減った場合には「減収補填債」という赤字地方債が発行できるが、それはあくまでも減収を埋め合わせるもので、それを新規施策に充てることはできない。

それでも「抜け道」はある。それは、地方債充当率という考え方に基づく。地方債充当率とは、地方債の使途となる対象事業ごとに、その事業費の何%まで地方債発行で得た収入を充ててよいかをあらかじめ総務省が示したものだ。それは建設国債の考え方と異なる。

建設国債は、国の公共事業費相当額までなら満額を発行できる。しかし、地方債は対象事業でも地方債充当率で定められた比率までしか発行できない。

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