「GoToキャンペーン」の背後にちらつく選挙の影 感染拡大なら選挙や住民投票どころではない

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京都は新型コロナウイルスの影響で訪日外国人が激減した(写真:Nicolas Datiche/アフロ)

2020年度第1次補正予算に総額1.7兆円を盛り込んだ「GoToキャンペーン」。そのうち、期間中の旅行商品を購入した消費者に対して代金の2分の1相当分を補助する「GoToトラベルキャンペーン」を7月22日から開始することをめぐり、賛否が分かれた。

東京都での1日の新規感染者数が一時200人を上回り、首都圏での感染拡大が懸念されている。そのさなかに首都圏から観光客が訪れるのは喜ばしいのか。感染拡大を恐れる観光地の声が出た。

インバウンドの外国人観光客が当面見込めない中、収入が激減した旅行・観光業からすれば、国内旅行を喚起して復活の契機にしたいという思いもある。業界からの強い要望もあって、政府は8月から始めるキャンペーンを、東京都を外す形で前倒しで開始することを決めた。

給付金は内閣支持率を押し上げたのか

政府はなぜそんなに急いでキャンペーンを始めようとするのか。そして、知事たちはキャンペーンになぜ異議を唱えるのか。そこには、選挙の影がちらついているようだ。

安倍内閣の政権運営は、解散総選挙をにらんだものになっている。衆院議員の任期は2021年10月まで。それまでには必ず総選挙を行わなければならない。一方、2020年度予算の効力は2021年3月末までであり、GoToキャンペーンもそれまでの予算執行を念頭に置いている。

予算は、内閣にとって支持率を引き上げる手段にもなる。2020年度補正予算に盛り込まれた国民1人に一律10万円を支給する特別定額給付金や、事業収入が半減するなどした事業者へ最大200万円を支給する持続化給付金は、すでに予算を執行している。

これが支持率の上昇に寄与したかというと、支給手続きに手間取ったり、外部への委託プロセスが不透明だったりして、かえって支持率を押し下げた面もある。

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