温室効果ガス25%削減に挑む--貿易立国存亡を懸け舵を切る日本郵船、船も電池で走る時代へ

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温室効果ガス25%削減に挑む--貿易立国存亡を懸け舵を切る日本郵船、船も電池で走る時代へ

8枚の帆を持つ、宇宙船のような大型コンテナ船--。日本郵船が現時点で考えられる技術を最大限活用し「究極の一歩手前」の環境型船として構想をブチ上げたのが「スーパーエコシップ2030」だ。燃料電池を動力とし、太陽光パネルを搭載、最新の摩擦抵抗削減技術などを採用することにより、二酸化炭素(CO2)排出量を69%削減できる。

国際物流の9割以上を占める輸送船から排出されるCO2は、京都議定書による国別削減目標の対象外。3国間輸送が大宗を占めるため、各国に割り当てられないからだ。しかし、その排出量は2007年で年間8・7億トンと世界の総排出量の2・7%を占める。これは日本の総排出量の約7割で、ドイツ1国分に相当する。さらに、国際海事機関(IMO)によれば、現状の技術革新を前提としても、途上国の経済成長などを背景に国際海運の総排出量は50年までに1・5~2・5倍になるという。

これらを受けて、IMOでは世界の海運会社に対し排出量規制の導入を検討しているとされる。また、7~8年前には1トン当たり100ドル前後だった船舶用燃料油価格が現状400ドル以上で推移するなど、燃料消費量削減のためにも船舶の燃費効率向上が急務となっている。

日本郵船では「13年までにCO2排出原単位を06年度比10%削減」を掲げている。この目標は、減速航行、コンテナ船の過給機カットなど既存船の運行改良で対応できるとしている。船舶航行では同じ航路距離でも航行速度によって燃料消費量が大きく異なる。一般に速度の3乗に比例するといわれ、スピードを落とすだけで大きな省エネ効果が得られる。これには電子制御エンジンの性能がモノを言い、各社はこの技術を競い合っている。

さらに「海のエコドライブ」への技術開発も行われている。中東などから原油を運ぶ大型タンカーは、台湾近海から黒潮に乗って北上する。しかし、海流はつねに変化するため、これまでこれを十分に生かすことができなかった。海流予測情報利用有限責任事業組合が開発した海流予測情報では10マイル(約18キロメートル)ごとに黒潮内の流速分布を把握でき、これを利用することで最大9%の燃料削減が確認できたという。

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