坂本幸雄・エルピーダメモリ社長兼CEO--DRAMメーカーは将来、世界で2社しか生き残れない
--2社というのは御社をはじめとした日台連合と韓国サムスン。
そうです。今、サムスンとハイニックスがつながるといううわさもある。その真偽のほどはわからないがやはり2社ぐらいになっていく。
--DRAM業界で2社しか生き残れないと思われるのは。
今のままだと価格が限りなくゼロに近づく。それは台湾の6社がそれぞれ勝手に投資をして価格を決めるからです。DRAMの価格は2年半の間に15分の1ぐらいに落ち込みました。それに対して、投資コストは圧倒的に大きいわけです。現状では投資は継続できず、次世代製品の生産ができません。
価格がゆっくり下がっていくという産業構造を作らなければ、みんなが死んでしまいます。最後に生き残った1社だけが非常にいい思いをできるというふうになれば、買い手であるパソコンメーカーにとっても不幸です。だから、強い会社が2社残るのがいいと考えています。
--価格低下によって需要を創出してきた面もあります。
今みたいな価格の乱高下が続くと、結局、パソコンメーカーも死んでしまいます。コンスタントに価格が下がったほうが、パソコンメーカーもやりやすい。過去のトレンドで見ると、年間30%ぐらい価格は低下しているので、初めから年間30%の値下げをコミットすればいい。
うちは携帯電話用DRAMを一切値上げせず、四半期ごとに価格を引き下げています。そのほうが携帯電話メーカーは製品開発がやりやすく、メモリ需要も伸びています。なぜパソコン用だけ乱高下するかというと、あまりにも多くの会社がそれぞれ価格を提示しているから。
価格というのは、1社が「このくらい安くします」と言うと、みんなその価格に追従する。僕はエルピーダが台湾と一緒になって一つの価格でやっていきたい。そうすることがDRAMの産業を安定させる。