ライザップ、2期赤字でも「瀬戸社長続投」のなぜ 株主に語りたがらない59億円損失の詳細

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決算説明会では、3月の社外取締役辞任についての言及もなかった。社外取締役2人が任期満了を待たず、同時に辞任するという異例の事態であるのに、ライザップは詳細を説明していない。

辞任した取締役の1人である中井戸信英氏は、ライザップのガバナンスを軽視するかのような姿勢に疑問を抱いていたようだ。同社の元幹部社員は次のように明かす。

「あるSNSサービスに広告を出そうかとなって、ライザップの取締役会に諮ったところ承認されなかった。それなのに子会社・ライザップはこの案件を進めようと検討を続けていた。中井戸さんは『グループの最高機関の決定に反することをやっている』とぶちぎれた」

【2020年6月28日20時55分追記】瀬戸社長が広告効果の検証なしでは認められないとの意見を一貫して示していたこと、同広告案件が実施されていないことが確認されました。それらを踏まえ、初出時の記事を上記のように修正いたします。

瀬戸社長は事実上の続投宣言

瀬戸社長がライザップと子会社ライザップの200人規模のリストラ案を持ち出したことも衝突の原因になったようだ。中井戸氏は、システム開発会社のSCSKで社長・会長を歴任し、同社の働き方改革を進めたことで知られる。経費削減もせずに人員整理に手をつけることが許せなかったのではないか。

6月10日の決算発表の前日、瀬戸社長は役員報酬を2021年3月まで全額返上すると公表したが、そこに記されていたコメントは事実上の続投宣言だった。

「コロナ危機という難局を乗り越えるため(中略)創業者である私自身が先頭に立ち、強い覚悟と決意をもって早期の業績回復に向けて邁進することで、株主の皆様をはじめとしたステークホルダーの皆様からの信頼回復と私自身の責任を果たしていく所存です」

少なくとも2018年の公募増資に応じた株主は、会社の現状について詳細を知る権利があるはずだ。この増資で約355億円を調達していなければ、2020年3月期末時点でライザップは債務超過になっていた計算になるからだ。

今年の株主総会は6月29日。その場でも株主の質問に「非開示」で押し通すのであれば、不誠実だと言わざるをえない。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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