ライザップ、2期赤字でも「瀬戸社長続投」のなぜ 株主に語りたがらない59億円損失の詳細

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6月10日に開かれた決算説明会において、瀬戸社長の発言は無難な内容にとどまった。だが決算書からは、語られていないライザップの課題が浮かび上がる。それはキャッシュの創出力だ。

2019年3月期と2020年3月期を比べると、本業の儲けを示す営業赤字の幅は83.9億円から7.5億円に縮小。本業で稼いだ現金の出入りを示す営業キャッシュフロー(CF)も、104億円のマイナスから139億円のプラスに転じた。

しかしこの数字をもって、ライザップの経営状態が良くなったと判断するのは早計だ。リース取引の会計上の扱いが変更された影響を考慮しなければならない。

会計処理変更で利益などがかさ上げ

リース会計処理の変更(IFRS16号)によると、店舗など賃貸借したリース物件の使用権利を資産として計上する一方、今後支払う賃借料をリース負債として計上する。賃借料は費用として計上せず、減価償却費や支払い利息として処理する。

ライザップは2020年3月期からこのIFRS16号を適用した。その結果、リース負債が加わってバランスシートの負債額が大きく増加した一方、販売管理費が大きく減ったことで営業赤字額は小さくなった。賃借料支払いに伴う支出は財務CFに負債の返済として区分され、減価償却費が増えたことで、営業CFがその分プラスになった。

つまり、IFRS16号適用の影響を除くと、大きく改善したように見えた営業赤字額は36.5億円、営業CFはプラス3億円にとどまる。見かけほど、儲けも現金も稼いでいないわけだ。営業CFと投資CF(設備投資などに伴う現金の出入りを示す)を合算したフリーCFは、3期連続のマイナスだ。

このようにキャッシュ創出力が鈍った状態の中で、ライザップは2020年3月期に長期借入金の返済と社債の償還を計184億円行った。借り換えで賄えなかった分も多く、現預金はこの1年で150億円ほど減り、2020年3月期末時点で270億円となっている。

これに対し、同期末時点でのリース負債を除いた有利子負債額は498億円。2021年3月期も計80億円程度の長期借入金返済と社債償還が見込まれる中、返済原資をどう捻出していくのか。

ライザップは、コスト削減効果によって営業CFは改善する見通しであり、それが返済原資の中心になると説明する。それに加えて、子会社の事業売却なども講じるとする。しかし、4~5月はジムの新規入会などがストップしていた。今後も厳しい状況が続くことを考えると、今以上に詳しい説明が求められる。

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