長期休校が不登校支援の現場に示した「可能性」 オンラインは悩める生徒の「居場所」になるか
オンライン教材もいくつか導入したが、かなり意欲的に勉強に取り組む子でないと手をつけない。たとえオンライン教材で学習面のフォローができたとしても、社会に出たときに必要になるコミュニケーション力が養えないと感じたという。
手探りでやり繰りしてきたオンライン授業だが、一方で収穫もあった。休校をきっかけに、「学校に行けなかったのはみんな同じだ」と意識を切り替え、休校明けに登校できた生徒が3人もいたのだ。
「何かきっかけがあれば、学校に通えるようになる子も多い。不登校生徒の根底には、やはり学校に行きたいという気持ちがあるように感じる。まずは安心できる居場所づくりが必要だ」(仙波さん)
不登校を選ぶ生徒が増える?
対面主体の支援現場で一部にポジティブな変化が起きているのに対し、従来からオンライン中心だった現場ではどんな変化が生じているのか。
不登校生徒への学習支援を行うネットスクール「クラスジャパン小中学園」。小1から中3の約300人が利用しており、オンライン教材を使った学習指導を受けている。
特徴は「ネット担任」と呼ばれるサポーターが子どもに1人ずつ付き、チャットを使って毎日コミュニケーションを取ること。子どもの進捗状況に合ったオンライン教材を提案し、学習習慣の定着を目指しつつ、日常生活の悩みや進路の相談にも乗っている。
保護者からの問い合わせにも対応している、同学園の中島武・代表取締役。新型コロナウイルス感染症の影響を最も感じたのは「問い合わせ内容の変化」だという。
これまでは不登校による不安要素である「孤立感」「学力の遅れ」「周りと違うことへの不安」に関する相談が多かったが、学校の休校期間中は減少。一方で、普段は登校しているが、基礎疾患を抱えるため、学校に子どもを通わせたくないと考える家庭から、学習面に関する相談が増えてきた。
「今後はこれまで学校に通えていた子が登校しないことを選択するケースも増えてくると思う」(中島さん)
一見するとネガティブにもとらえられかねない、不登校生徒が増加するという見通し。だが、同学園の教育アドバイザーを務める小幡和輝さんは「問題とは思わない」と話す。
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