長期休校が不登校支援の現場に示した「可能性」 オンラインは悩める生徒の「居場所」になるか
コロナ禍をきっかけに学校に行きたがらなくなった子は、もともと学校が合わないと直感的に感じていたと考えられる。そういう子にとって、息苦しさを抱えたまま学校生活を送るのではなく、新しい選択肢ができたのはよいことだ、というわけだ。
そのうえで、保護者に対して、次のように提案する。
「保護者は学校に行かない子どもに不安を感じるかもしれないが、不登校をめぐる背景は随分と変化してきた。学習支援やフリースクールなど居場所づくりを行う団体はたくさんある。まずは、そういうさまざまな情報を洗い出してほしい。そのうえで、わが子にとって登校する必要があるのか、それとも別のルートで将来に向けて走り出すのかを考えてみては」
課題は「居場所の確保」
少なからぬ変化が起きている、2つの現場。共通する課題意識は、不登校生徒たちの居場所の確保だ。
熊本学習支援センターの仙波さんは、「学校に閉塞感を感じる生徒がいるのであれば、現在の制度を見直すべきだ。例えば、学年に関係なく小学生、中学生、高校生が入り乱れる環境を作るなど、さまざまな方法を考える必要がある」と指摘する。
クラスジャパン小中学園の小幡さんは昨年、日本を一周し、47都道府県の不登校生徒と会ってきた。いろいろな子と話してみると、もともと勉強が嫌いな子は少なく、学ぶ環境が奪われた結果、学習についていけなくなった子が多いと感じたという。
「不登校になった瞬間は『学校に行けない自分』に対する自己肯定感が低くなっているので、それを反転させるきっかけづくりが重要。ネット担任はそのきっかけ作りの1つとして有効だと思う。自己肯定感が高まったとき、学習意欲も飛躍的に伸びる」
一方で、フリースクールや習い事など、オフラインに居場所を感じていた子どもたちもいる。同学園では、そういう子どもたちに向けて、「街の元気学校」として地域の学習塾や芸術家の工房などと連携。その場所に行けばオンライン学習ができる状況を整え、多世代の人と学ぶ取り組みを増やしていく予定だ。
不登校児童も通学生も、さまざまな活動を通して将来の夢を見つけ、それを目指して走り続けることに変わりはない。新型コロナウイルスの影響で「オンライン」という新しい学習ツールが1つのスタンダードになりつつある現在。子どもたちが社会とつながるための「居場所」の1つとなる可能性もあるのではないだろうか。
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