中国に衝撃「月収1.5万円が6億人」の貧しさ 家計資産1億円超える大都市との巨大な格差

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中国は豊富で低廉な労働力を原動力に高度成長を続けてきたが、すでに生産年齢人口は減少に転じた。国連の推計では2030年には総人口もピークアウトする。ここから先は生産性の向上によって成長していくほかない。そのために政府は農村の土地の流動化などの規制緩和を準備中だ。これまで中国の国民を都市戸籍と農村戸籍に二分してきた制度も見直しが進んでいる。

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しかし、中国の農村部には、デジタル化によって生産性を高めていく都市部とはかけ離れた世界が残されている。彼らを都市部での労働力として活用しつつ、いざというときに路頭に迷わない手を打っていくのは簡単ではない。

中国政府は現在、新型コロナショックによる雇用不安の解消と、将来を見据えた経済改革の二兎を追わざるをえない状況だ。全人代終了後の6月1日に山東省煙台を訪れた李首相は、これまで政府が取り締まってきた露店の復活まで唱えた。それだけ雇用の受け皿づくりに必死なのだ。

今年の目標通りに絶対的貧困は撲滅できるにしても、全体としてみれば途上国には変わりない。そして人口減と高齢化はもう目の前に迫っている。トランプさん、あまりいじめないでくださいよ――。李首相があえて6億人という、かなり「盛った」数字を低所得者層の数として打ち出した背景には、そんなメッセージが込められているのではないだろうか。

西村 豪太 東洋経済 コラムニスト

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にしむら ごうた / Gota Nishimura

1992年に東洋経済新報社入社。2016年10月から2018年末まで、また2020年10月から2022年3月の二度にわたり『週刊東洋経済』編集長。現在は同社コラムニスト。2004年から2005年まで北京で中国社会科学院日本研究所客員研究員。著書に『米中経済戦争』(東洋経済新報社)。

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