ソニー、R&Dトップが語るテクノロジーの磨き方 「ものすごいスピードでシナジーを生み出す」

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ソニーのテクノロジーはどんな進化を遂げるのか。写真は2019年9月の「Technology Day」で会見した勝本徹副社長(撮影:梅谷秀司)
2020年5月に金融部門であるソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化を発表し、エレキの位置づけも変えるソニー。グループの事業構成を再定義し、今後はどのようなシナジーを見込むのか。
『週刊東洋経済』は6月15日発売号で、「電機の試練」を特集。その中で研究開発(R&D)担当の勝本徹副社長に、ソニーが目指すテクノロジーの進化について聞いた。


──今はどんなテーマが研究開発の中心になっているのですか。

エレキと金融、エンタメの融合は、私がR&Dセンターの担当になった2年前からの課題だ。吉田(憲一郎社長)からは「グループ全体にテクノロジーを広げてほしい」とずっと言われている。これまでのR&Dは、エレキと半導体のための技術開発が中心だった。

現場のワークフローを徹底的に学んできたことで成果が出てきた。今年3月には、自動車事故を起こす確率が低い人の損害保険料を下げる商品をソニー損保から発売した。そこには人工知能(AI)やセンサーを使って運転の癖を分析する技術を導入している。

金融の現場で磨いたテクノロジーを、エレキや半導体に転用することもできると思っている。エンタメや金融がグループで一体化したことで、ジョイントベンチャーや協業をするうえで面倒な手続きも省ける。

ものすごいスピードでシナジーを生み出せるようになるだろう。

自動車の「手触り感」が欲しかった

──今年初め、アメリカのラスベガスで開催された世界最大のデジタル技術の見本市「CES2020」で披露した、電気自動車「ビジョンエス」が話題になりました。

2020年1月、ソニーが世界最大のデジタル技術の見本市「CES2020」で披露したモビリティは、大きな話題になった(記者撮影)

車の安心、安全を支えるためにどういうセンシング(センサーでの計測・判別)をするべきかなどは、自分たちで車を造ってみて現場を体験してみないとわからない。われわれの技術で車が安全になるという手触り感が欲しかった。

ビジョンエスを量産する予定はないが、しっかり認可を取って公道で走れるようになるまで仕上げていく。

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