ソニー、R&Dトップが語るテクノロジーの磨き方 「ものすごいスピードでシナジーを生み出す」
──今はどんなテーマが研究開発の中心になっているのですか。
エレキと金融、エンタメの融合は、私がR&Dセンターの担当になった2年前からの課題だ。吉田(憲一郎社長)からは「グループ全体にテクノロジーを広げてほしい」とずっと言われている。これまでのR&Dは、エレキと半導体のための技術開発が中心だった。
現場のワークフローを徹底的に学んできたことで成果が出てきた。今年3月には、自動車事故を起こす確率が低い人の損害保険料を下げる商品をソニー損保から発売した。そこには人工知能(AI)やセンサーを使って運転の癖を分析する技術を導入している。
金融の現場で磨いたテクノロジーを、エレキや半導体に転用することもできると思っている。エンタメや金融がグループで一体化したことで、ジョイントベンチャーや協業をするうえで面倒な手続きも省ける。
ものすごいスピードでシナジーを生み出せるようになるだろう。
自動車の「手触り感」が欲しかった
──今年初め、アメリカのラスベガスで開催された世界最大のデジタル技術の見本市「CES2020」で披露した、電気自動車「ビジョンエス」が話題になりました。
車の安心、安全を支えるためにどういうセンシング(センサーでの計測・判別)をするべきかなどは、自分たちで車を造ってみて現場を体験してみないとわからない。われわれの技術で車が安全になるという手触り感が欲しかった。
ビジョンエスを量産する予定はないが、しっかり認可を取って公道で走れるようになるまで仕上げていく。
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