中国「新車販売」出荷ベース増でも楽観できない訳

外資攻勢で中国勢苦戦、ブランド格差が拡大

外資系合弁ブランド車の攻勢により中国ブランド車は苦戦を強いられている。写真は長安汽車の高級SUV「CS95」(長安汽車のウェブサイトより)

「5月の新車販売台数は2桁増えたと言うが、それはメーカー出荷ベースの話だ。ディーラー店頭での実売台数は逆に減少しており、状況は大変厳しい」。国有中堅自動車メーカーの長安汽車の朱華栄総裁は6月13日、重慶市で開催された自動車業界のフォーラムでそう述べた。

自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会が6月11日に発表したデータによれば、2020年5月の中国の新車販売台数(メーカー出荷ベース)は219万4000台と前年同月比14.5%増加、4月に続いて2カ月連続で前年同月を上回った。前月はマイナスだった乗用車の販売台数も同7%増加し、2年近く続いた前年割れにようやく終止符を打った。

このデータを根拠に、市場関係者の間には自動車販売が本格的な回復期に入ったとの見方が広がりつつあった。朱氏の発言は、そうした楽観論にクギを刺すものだ。自動車販売会社などの業界団体である中国汽車流通協会が6月10日に発表した5月の在庫指数は1.55と、ディーラーが消化するのに1カ月半以上かかる在庫を抱えている状態であることも、朱氏の言葉を裏付けている。

2年後には自動車産業の外資規制が完全撤廃

それだけではない。販売回復の度合いはメーカーやブランドによって落差がある。朱氏によれば、特に中国メーカーの独自ブランド車が苦戦を強いられており、一部のブランドはコロナ前の水準を回復できない可能性もあるという。中国汽車工業協会のデータによれば、乗用車販売に占める中国ブランドの5月のシェアは34.1%と、4月の34.6%よりさらに低下した。

本記事は「財新」の提供記事です

国有大手の広州汽車集団の呉松・常務副総経理は同じフォーラムのなかで、外資系合弁ブランドによる値下げと新型車の大量投入が、中国ブランドを過酷な競争にさらしていると指摘した。「中国ブランドはもともとSUVのシェアが大きく、利益の源泉もそこにあった。だが今では外資系ブランドが大挙してSUV市場に押し寄せている」(呉氏)。

しかも中国ブランドの難局はまだ始まったばかりだ。2年後の2022年には自動車産業の外資規制の完全撤廃が控えているからだ。今後はブランドの優勝劣敗がさらに拡がり、中国ブランドはもちろん外資系でも、魅力の乏しいブランドは市場から淘汰を迫られることになるだろう。

(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月14日

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