ベビーシッターが21年見続けたある家族との絆

小学2年生で「サービス休止」を伝えられたが

シッター歴21年のベテランシッターが、ある家族との関わり方を通して「家族の絆」とは何かを教えてくれました(写真:Fast&Slow/PIXTA)

生後1歳に満たない男の子の幼い笑顔がアルバムに並んでいる。1ページ1ページ、愛おしそうに写真を眺めながら、「笑ってる写真ばっかりなのよね、うちにもよく泊りに来てうちの家族とみんなで遊んだの」と、いかにも優しい微笑みを浮かべながら語り出す明子さん(仮名、46歳)。

明子さんは、シッター歴21年という大ベテランです。今まで都内を中心に、数えきれないほどのお宅へ伺い、さまざまな家庭の私生活に関わってきました。

筆者と明子さんは10年来の付き合いで、明子さんがサロンへ来てくれるたびに、今関わっている子どもたちのお話を通して、発達心理学や児童心理学、子どもたちへの教育について語り合ってきました。

生後11カ月の子どもの面倒をみることに

これまで筆者は明子さんの視点を通してたくさんの子どもたちのお話を伺ってきましたが、とくに印象に残るのが、冒頭のアルバム写真の勝也くん(仮名)です。

勝也くんが生後11カ月の頃、勝也くんの母親からの依頼でシッターへ伺うことになった明子さん。

母親は記者、父親は大手企業勤務で出張も多く、夫婦共働きでとても忙しいお宅だったそうです。

明子さんは週に2回勝也くんのお宅へ行っていました。普段なかなか両親が外へ連れ出してあげられない代わりに勝也くんを外に連れ出し、子どものストレスを発散すべく大きな公園で思いっきり遊ばせたり、乗り物が好きだといえば自動車の展示会や交通博物館、テーマパークなどいろいろな所に連れて行きました。

自宅で遊ばせるときにも、「この子の好きや得意を伸ばしてあげたい」と、雑誌に掲載されている車の写真をハサミでチョキチョキ切らせて画用紙に貼って本を何冊も作ったり、食事の支度などをしていたと言います。

両親が仕事で帰宅できないときには、実家暮らしの明子さんのお宅で勝也くんを預かり、一緒に暮らす明子さんの両親や妹と家族同然に遊んでいたそうです。

勝也くんが小学校へ入学した後も明子さんはサービスを継続しており、学芸会や運動会などの学校行事の際には母親からの計らいで必ず明子さんも誘われたと言います。ですので、アルバムにはまるで明子さんが母親かと錯覚してしまうような写真もずらりと並んでいました。

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