その「差異」は努力の結果か、生まれつきか

デブ対チビの終わりなき闘い

持って生まれたものか、努力の成果か

社会科学では、当人の責任ではない、持って生まれた要素を「属性」、当人の努力の成果を「業績」と呼んで区別します。現代社会は業績に基づく差別は容認する(たとえばTOEICの点数が高いほうが高い賃金をもらうこと)のに対して、属性に基づく差別はあってはならないと考えます(たとえば同じ仕事をしているのに、女だから、外国籍だから、といった理由で昇進や昇給で差別を受けること)。

容姿・外見は「属性」であり、学歴は「業績」であるとしばしば考えられているのですが、それははっきりと区別できるようなものでしょうか? 容姿にも努力の結果という意味で「業績」の要素がかなり入っており、逆に学歴も決して当人の努力だけで決まるものではなく、どんな家庭や地域に生まれ落ちたかで、獲得できる学歴が違ってしまうのは、残念ながら事実です。岩手県と東京都の中学卒業生の3年後の大学進学率には、約2倍の差があります。

そういう意味でいうと、男性のチビは、結婚市場で確かに不利な扱いを受けるのですが、一定の年齢になると「属性」にしかならず、当人の責任にはなりません。これに対してデブのほうは、いつまで経っても「業績」と考えられ、個人が帰責の対象とされてしまうのです。

それらの結果として、さまざまなダイエット商品が生み出され、どうグラフを見て考えても大した効果がないであろう商品が「トクホ」になって注目されたり、脂肪吸引や部分やせ、果ては医学的に大した根拠のないようなエステなるものに、人は高額のおカネを出すことになるのです。

就活にもそれは微妙に影響しますよね。入試合格時は業績だったはずの学歴は、就活では属性と化してしまいます。そこで業績の領域を磨くことを目指してエントリーシートを工夫し、また外見が属性ではなく、業績になるために、スーツだのメイクだのにエネルギーを費やし……。

私も背の順に並ばされた暗い過去から、チビはけっこうしんどいコンプレックスなのですが、まぁ、対処法がない、というのはある意味幸せなのかもしれないと、プチ・ダイエットをしながら考えていました。

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