「ディズニープラス」日本で成功するための条件 世界では半年経たない間に会員5000万人突破

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映画興行やホームエンターテインメントのマーケティングデータを分析するGEMパートナーズ(本社:東京都港区)の調査によれば、国内におけるSVOD利用率では、アマゾンプライムが圧倒的なトップを走る。

もちろん、アマゾンプライムはネット通販における配送特典などさまざまなサービスを提供しており、動画配信はその一環。料金の違いもあり、一概には比較できない。ただ、それを割り引いても、アマゾンプライムの利用率の高さが目立つ。

昨年3月から始めたディズニーデラックスの会員数などは非公表だが、この調査からも苦戦ぶりがうかがえる。これまでディズニーは、日本におけるSVODで一般層に訴求できていない可能性がある。

メディアカンパニーの実力

「半年も経たないうちにグローバル会員が5000万人を超える勢いはすごい。ただ、その勢いがそのまま日本にあてはまるほど簡単ではない」。前出のSVOD関係者はそう語る。

ディズニーの真の姿は、巨大メディアカンパニーであるということだ。アメリカでは三大ネットワークの一角、ABCを持ち、スポーツ専門チャネル「ESPN」も展開する。アメリカ市場ではABC制作のドキュメンタリーやドラマ、ESPNによるスポーツなども強力なコンテンツになる。だからこそ、ディズニー1社でも、有力なSVODとなるのだ。

実際、アメリカではディズニープラスに、グループのフールー(日本での運営主体はアメリカとは別)、ESPNの動画配信を合わせて月額12.99ドルというバンドル契約を展開しており、それが拡大の武器になっている。

だが、日本国内では、あくまでディズニーは映画やテーマパークのイメージが強い。ピクサーやマーベル、ルーカスフィルムを含めたコンテンツは強力だが、「それらはすでにディズニーデラックスでも展開している。プラスで何が変わるかが見えにくい」(同)。

ディズニープラスという世界共通のチャネルを持つことで、マーケティングなど視聴者に訴求しやすくなる側面はあるだろう。ディズニーは日本でも巨大メディアカンパニーとしての実力を発揮するか。SVODに対するディズニーの本気度が試されることになる。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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