東宝、映画館再開でも全く安心できない事情 演劇の地方公演中止、映画製作もストップ

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新型コロナウイルス下で、東宝の収益を下支えしているのが不動産事業だ。映画館の跡地などを活用し、ビル運営を行っている。ゴジラがトレードマークとなっている新宿東宝ビルには、ホテルグレイスリー新宿がテナントとして入っている。

また、道路の修繕工事などを行う道路事業も需要が底堅く、安定して収益を生み出している。そうした不動産賃貸を中心にした不動産事業は2020年3月期は全体の3割に相当する186億円もの営業利益をたたき出した。

保有する賃貸用不動産の空室率は1〜2月は0.1%台ときわめて低い水準で推移するが、新型コロナの影響でテナント撤退などの動きが今後起きる可能性もある。賃貸用不動産では「(東宝にも)賃料減免の依頼が来ている」(同社広報)ため、そうした対応も必要不可欠だ。少なからぬ影響は覚悟しなければいけない。

見えぬコロナ後の映画ビジネス

5月の映画興行収入が前年同期比99.4%減だったことや、公演の再開見通しが立たないことなど不安要素は尽きない。それでも、手元資金が700億円近くあることや3700億円もの土地含み益があることなどを考えると、直ちに借り入れで資金を調達する必要はなさそうだ。

東宝も「(不動産など)担保を提供しての借り入れは今のところ念頭にない」(同社広報)と話す。2020年2月時点での借入金は35億円程度と極めて少なく、潤沢な資金力と不動産の含み益を背景に映画館の休館などの事態を乗り切る構えだ。

東宝にとって今後の問題は資金手当というよりも、コロナ後の映画館ビジネスの姿が見えないことだ。緊急事態宣言が解除され、映画館が再び開館し始めたが、感染再拡大によっていつ閉館に追い込まれるかはわからない。

当面は客数を制限するなど新型コロナウイルスの感染拡大を防止しながら映画館を営業していくことが現実的だが、ハリウッドをはじめとする有力映画の製作もストップしており、2021年以降に大型作品が配給されるかどうかも不安材料の1つだ。

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