マカオ経済「カジノ収入」が9割減少の衝撃度 訪問客の激減で1~3月期のGDPが半減の惨状

✎ 1〜 ✎ 97 ✎ 98 ✎ 99 ✎ 最新
拡大
縮小
新型コロナの流行でマカオのカジノの入場者数は激減した(写真はイメージ)

世界最大級のカジノ都市であるマカオの経済が、新型コロナウイルスによる深刻な打撃にあえいでいる。マカオでは新型コロナの市中感染の拡大を防いだものの、基幹産業のカジノと観光を支える域外からの訪問客が激減してしまったためだ。

マカオ政府のカジノ監督部門である博彩監察協調局が6月1日に発表したデータによれば、2020年5月のカジノ収入は17億6400万パタカ(約238億円)と前年同月比93.2%も減少。その2日前に発表されたマカオの2020年1~3月期の域内総生産(GDP)は、前年同期比48.7%減の565億パタカ(約7628億円)と四半期ベースで過去最大の落ち込みを記録した。

新型コロナの世界的流行で国境を越える人の移動がほとんどストップしたため、1~3月期のマカオのインバウンド旅客数は前年同期比68.9%減少。カジノ産業によるサービス輸出は同61.5%、その他の観光業によるサービス輸出は同63.9%それぞれ減少した。

カジノ運営会社の経営は軒並み赤字に

マカオ政府は2月5日から19日まで域内の全カジノを閉鎖した後、社会的距離などの防疫対策をしたうえで2月20日から部分再開を許可した。しかし3月後半、域外からの訪問客に新型コロナの感染例が見つかり、より厳しい水際対策を取らざるをえなくなった。

その結果、4月のカジノ収入は7億5400万パタカ(約102億円)と前年同月比96.8%も減少。4月と5月の2カ月連続でカジノ収入が9割以上落ち込んだことにより、カジノ運営会社の経営は軒並み赤字に陥っている。

本記事は「財新」の提供記事です

マカオでは4月9日以降、50日以上連続で新型コロナの感染例は確認されていない。5月からは学校の授業も順次再開された。アメリカの金融サービス会社のジェフリーズは5月下旬に発表した調査レポートで、マカオ政府が訪問客の入境制限を緩和する条件が整いつつあり、カジノ運営会社の業績は近い将来に底を打つと予想した。

(財新 駐香港記者:劉雁菲)
※原文の配信は6月1日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT