「新品の服は1年買わない若者」は急増するか 「#ボイコットファッション」を知ってますか

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伊勢谷「サステイナビリティ」は、実はとても難しい課題です。消費者からすると正直よくわからないところもあります。「オーガニック」や「ロハス」といった言葉のイメージだけが一人歩きしているところがありますよね。

福田:そうですね。日本は「消費者の価値観」が希薄で、世の中のトレンドに流される人たちが多いです。

伊勢谷:多くの人は、「自分が大切」なのか「環境が大切」なのかという「視点」をごっちゃにしながら生きているんですよね。例えば「このハチミツは健康にいい」という自分のための視点と、「このハチミツは環境にいい」という地球のための視点を、あまり区別していない。消費者はイメージで、「自分にいいもの」と「環境にいいもの」の区別なく買っている。

福田ファッションがその最たる例ですよね。

「#ボイコットファッション」の行方は?

伊勢谷:僕らの世代のファッションなんか「スタイルを取り入れてまねする」という感じでしたね。渋カジ系とか、何とか系とか、はめていって、物まね系のファッションが文化としてのプロセスだったと思います。

福田:そうです。「はやっているものを着る」という世界でした。アメカジ系とか、モード系とか、そのときにはやっているものを着る。「思想」としてのファッションではなく、あくまで「トレンド」を消費するファッションです。

伊勢谷:明確な選択肢として「自分だけの利益より、社会全体をよくする仕組み」があれば、それを選ぶ人もいると思います。何を選ぶかの指標があいまいだから、消費者側も「どう生きるか」の整理ができないんですよね。

福田:そうですね。ただ、今回のコロナ禍を契機に潮流が変わると思います。実際、弊社の調査では新型コロナウイルスの影響で、今後は「社会協調志向」「家族志向」といった価値観が生活者のなかで高まり、サステイナビリティに対する関心も高まっていく、という消費者調査結果が出ています。その中で、高い意識を持つ人も確実に増えていくと思います。

伊勢谷:新型コロナウイルスについては人間社会にとって大変な問題となっていますが、地球環境保全にはポジティブに働くかもしれないなんて皮肉ですよね。実際、最近は空の青さに、ハッとすることも多いですから。

福田 稔 KEARNEYシニアパートナー

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ふくだ みのる / Minoru Fukuda

慶應義塾大学卒業、IESEビジネススクール経営学修士(MBA)修了。電通国際情報サービス、欧州系戦略コンサルを経て、A.T. カーニー入社。主に、アパレル・繊維、ラグジュアリー、化粧品、小売、飲料、ネットサービスなどのライフスタイル領域を中心に、戦略策定・ブランドマネジメント・グリーントランスフォーメーション・DX等のコンサルティングに従事。プライベートエクイティやスタートアップへの支援経験も豊富。経済産業省の産業構造審議会 繊維産業小委員会委員、繊維製品における資源循環システム検討会委員、ファッション未来研究会副座長。著書に『2030年アパレルの未来』『2040年アパレルの未来』(共に東洋経済新報社)がある。

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伊勢谷 友介 リバースプロジェクト代表・俳優・監督

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いせや ゆうすけ / Yusuke Iseya

1976年、東京都生まれ。 東京藝術大学美術学部修士課程修了。1998年より俳優として活動。2002年、初監督作品『カクト』が公開。2009年、様々な才能を持ったアーティスト・プロデューサーが集結し、「人類が地球に生き残るために」をテーマに、新たな価値とモノの創造、社会貢献活動を行う株式会社リバースプロジェクトを設立。人間がこれまでもたらした環境や社会への影響を見つめなおし、 衣・食・住のみならず、教育・芸術・まちおこしといった分野において未来における生活を新たなビジネスを通して提案し、様々な企業とともに社会課題解決型のプロジェクトを実施。

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