「新品の服は1年買わない若者」は急増するか 「#ボイコットファッション」を知ってますか
伊勢谷:そもそも服をつくる過程での「インパクト」(自然環境や生態系を変化させる影響)について、消費者側はほとんど知らされていないですよね。
「天然素材」と「化学繊維」、どちらが環境にいい?
福田:そのとおりですね。「環境負荷」というのは、例えばCO2(二酸化炭素)や水を製造工程でどれくらい排出したかで変わってきます。今日私が着ているジャケットはウール100%で、一見環境によさそうに感じます。しかし、ウール製品を生産するための牧羊から製造段階までに、驚くほど多くのCO2が排出されています。
伊勢谷:そう。「ウールやコットンなどの天然素材は環境にやさしい」と思われがちですが、むしろ天然素材より、化学繊維のほうが「インパクト」が小さいことも多い。
福田:それに、牛や羊などの反すう動物の「げっぷ」に含まれるメタンは、温室効果が非常に高い。アパレルの生産には、さまざまな段階で「環境負荷」がかかっています。
伊勢谷:しかも、「環境負荷」をはかるのは非常に複雑ですよね。農薬などの問題を考えれば、普通のコットンよりオーガニックコットンがいいのは間違いない。ただ、オーガニックコットンをつくるには、必要な土地や労働量も多くなる。
福田:そうですね。
伊勢谷:ならば化学繊維を再生したほうが、トータルで「インパクトが少ない」となるわけです。すでにナイロンやポリエステルの原料が存在するなら、それを有効利用したほうが効率的ですから。これはプラスチック製品などにもいえますが。
福田:もちろん、化学繊維には「自然界に生分解されない」という課題もあります。例えばフリースなどの毛玉(マイクロポリエステル)が流されて、海にたまっていく。東京湾でとれたカタクチイワシの8割から、マイクロポリエステルが検出されたそうです。こういった問題もあるので、一朝一夕では判断できませんが。
伊勢谷:消費者が「環境にいい選択をしたい」と考えたとき、専門的な知識を身に付けて買い物をするのはかなりハードルが高い。そこに「なんらかの指標」があれば、「正しい選択」ができるようになりますよね。