「新品の服は1年買わない若者」は急増するか 「#ボイコットファッション」を知ってますか

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福田:そういう現状を受け、最近グローバルでは、若い消費者の間で「#boycottfashion(ボイコットファッション)」という動きがあります。

若者から「地球を壊すファッション」に警鐘を鳴らす

伊勢谷「52週間(1年間)、新しい服を買わない」という意思をあらわすハッシュタグですよね。ファストファッションによって服が大量廃棄されていることに、多くの人が反対している。

福田:とくに10代の若者が中心になって広まっているようです。インスタグラムで「#boycottfashion」を検索するといろいろな写真が出てきますが、「地球を壊すためのファッションなんて嫌だ」というような過激なメッセージを掲げた人たちの写真も多く出てきます。

福田 稔(ふくだ みのる)/ローランド・ベルガー パートナー。慶應義塾大学商学部卒業、欧州IESEビジネススクール経営学修士(MBA)、アメリカ・ノースウェスタン大学ケロッグビジネススクールMBA exchange program修了。株式会社電通国際情報サービスにてシステムデザインやソフトウェア企画に従事した後、2007年ローランド・ベルガーに参画。ローランド・ベルガー東京オフィスの消費財・流通プラクティスのリーダー(撮影:今祥雄)

もともとは、環境保護運動組織「Extinction Rebellion」が呼びかけて始まった活動で、ロンドンの若手デザイナーや評論家の一部の支持を得た結果、わずか数週間の間に、世界中で数十万人を超える若者たちの賛同を集めました。Z世代を中心に、若者が環境問題に対して具体的なアクションをとることは、世界では当たり前になってきていますね。

伊勢谷:これまでのように、「大量につくって、大量に売って、余ったものを捨てる」というビジネスモデルでは生き残れない。

福田:昨年FOREVER 21が倒産したのは記憶に新しいですが、実際にグローバルの一部のファストファッション企業は業績が悪化しています。

伊勢谷:これからは、「消費者起点」で考え、必要なものだけ最小限につくる。つまり「その人が本当に求める服を1着だけつくる」というマスカスタマイゼーションのシステムが理想ですよね。

福田:そうですね。これまでのアパレルのサプライチェーン、「大量に売ってお店に並べて、余ったものを捨てる」という形がまったく逆の、「消費者起点で必要なものだけ最小限につくる」と。そういったサプライチェーンに変えていかないと生き残れない局面に来ているのではないかなと思いますね。

伊勢谷:今後のアパレル業界は、「つくる側」も「消費する側」も変わらなければいけない。それを強く感じます。

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