日本人が驚く、米国発「新型デパート」の衝撃 Amazonにない「価値の複合化」が生き残りの鍵
『2030年アパレルの未来 日本企業が半分になる日』を上梓したコンサルタントの福田稔氏が、従来とは一線を画したビジネスモデルで勝負するアメリカ最先端のスタートアップ「D2Cブランドのデパート:Neighborhood Goods」を解説する。
テキサス発「D2Cブランド」のデパート
ヤフーとLINEの経営統合発表に伴い、日本のプラットフォーマーの覇権争いは、アマゾン、楽天、Zホールディングス(ヤフーとLINEの統合会社)の3社に絞られたという見方が強い。一方、デジタル化で日本の先を行くアメリカでは、EC周りは「ほぼアマゾンの一強」となっている。
実際、アメリカでは「アマゾンエフェクト」と呼ばれる小売業の淘汰が進み、2019年だけでも約5000店が閉店、2026年までに7万5000店が淘汰されるという予測もある(UBS証券レポート2019)。
このようにアメリカでは「小売業の新陳代謝」が激しく進む一方で、「リアル店舗の価値を新しく定義した新業態」も芽吹きつつある。具体的には、従来のように「消費者に売る」ことではなく「消費者に新しい価値を提供する」ことで、企業側からも収益化を試みるビジネスモデルだ。
その代表例で、日本企業が学ぶべき「最もイノベーティブな小売業」と筆者が考えるのが、「Neighborhood Goods」(ネイバーフッド・グッズ)という、2017年にアメリカ・テキサスで創業したスタートアップだ。
その独特のビジネスモデルから、アメリカでは「リテールのニュータイプ」「ストーリーテラーのリテーラー」などさまざまなキャッチフレーズで紹介され、「『D2Cブランド』のデパートメントストア」ともいわれている。
「D2Cブランド」とは、自社WEBサイトからの直販事業を中心にブランドを営む「Direct to Consumer (D2C)」 という新しいビジネスモデルのことである。
投資家からの評価も高く、2019年9月時点で累計2550万ドルの資金調達を達成し注目を集めている。
事業の立ち上がりも順調で、2018年11月にテキサス州ダラスに約1300平方メートルの1号店を開いたのを皮切りに、2019年12月にはニューヨークで2号店をオープン、2020年初頭に次の3号店も予定している。
いったい、「Neighborhood Goods」は何がすごいのだろうか。なぜ「日本企業が学ぶべきお手本」だと筆者は考えるのか。同社の特徴・魅力を「消費者側」「企業側」から見つつ、解説したい。
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