日本人が驚く、米国発「新型デパート」の衝撃 Amazonにない「価値の複合化」が生き残りの鍵
まず、消費者側である。消費者にとって「Neighborhood Goods」の魅力とは、ライフスタイルのさまざまなシーンで活用できるほど、「多様な価値」を提供してくれる場であるということだ。
店には、アパレルから生活雑貨まで旬な「D2Cブランド」がセンスよく展示され、「新しいライフスタイル」を提案してくれる。加えて、商品ローンチイベントやコミュニティーイベントなどの催事が毎日のように行われ、ライブ感があって飽きない。
また後述するように、店舗スタッフは、販売員ではなく「ストーリーテラー」として位置づけられフレンドリーで、消費者が店員から購入プレッシャーを感じることはない。
また、店舗に併設されたカフェもおしゃれで快適、思わず立ち寄って食事をしたり、時間をつぶしながら新しいブランドをアプリで検索、店員とチャットしたりと、消費者のライフスタイルに合わせてさまざまな使い方ができる。
このように消費者にとっての「Neighborhood Goods」は、「商品をトライアルする場」「ブランドとコミュニケーションする場」「地域のコミュニティーハブとしての場」など、従来のリテールを超えた「さまざまな価値」を持っているのだ。
企業側からみた魅力は何か
一方、企業側からみた魅力は、端的に言うと、同社が「D2Cブランド」にとって、販売だけでなくマーケティングやブランディングまで支援してくれるビジネスパートナーだということだ。
同社のビジネスモデルは、出展ブランドからの展示費用と販売委託手数料(販売マージン)からなる。この月額固定の展示費用には、ブランド側へのコンサルティングフィーが含まれている。
同社のスタッフは、出店者の「ブランドアンバサダー」となり、ブランドの魅力・ストーリーを消費者に伝えることを徹底する。そして、消費者がスタッフと交わしたコミュニケーションを基に、ブランドに対して消費者のインサイトをフィードバックしていく。
ブランドは「Neighborhood Goods」の場を活用して、商品ローンチイベントやファンとの交流イベントなど、さまざまなリアルイベントを打つこともできる。同社に出店している「D2Cブランド」の大半はリアル店舗を持たないので、「Neighborhood Goods」のようなおしゃれな場所を使えることのメリットは大きい。
また、同社はデジタル活用にも積極的だ。前述のアプリを通じて各商品の情報提供に加え、セルフ決済やチャット機能も提供している。カメラによる顧客の動線分析も実施している。こうしたデジタル経由で集められたユーザーの情報は、前述のスタッフを通じて集まった消費者のアナログ情報と共に、ブランド側に密にフィードバックされていく。
以上により、ブランドは自らの店舗を構えることなく、効果的なテストマーケティングやブランディングを実施することができるというわけだ。
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